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朝鮮の歴史と社会を学ぶにあたって(朝鮮の歴史と社会ー近世近代第1回)

差し当たり政治的スローガンを元にして都合の良い事実を探し求めるという研究手法は否定されるべきだけど、徹底するのは難しい。

 

須川英徳。月脚達彦。三井崇。朝鮮の歴史と社会を学ぶにあたって。朝鮮半島の歴史研究入門。朝鮮半島の歴史。高麗時代から日本統治まで1000年ほどの時間。用いる史料などが異なる。
時代区分。近代における政治史学。古代中世近代。古代文明が蛮族により滅びてキリスト教支配が。ルネサンスから近代。中世はヨーロッパで考案され時代を区分する方法は近代の歴史学の基本として。西洋の歴史学が日本に導入され時代区分の考え方も。飛鳥時代からの時代区分。文化や社会の特色から古代、鎌倉幕府からの中世。明治維新からの近代という時代区分。江戸幕府による全国支配。新たな安定を。中世とは別に近世と。当時の近代から近いという意味。若干の修正もあって多くの研究者が受け入れている。東洋の歴史。王朝毎に区分する。中国では司馬遷の史記が。次の王朝が編纂して歴代ごとの歴史が。朝鮮では高麗時代に箕子朝鮮と高句麗新羅などの時代などの三国史記が。朝鮮時代になると高麗史や高麗史節要が。歴史処理には大きな問題が。易姓革命の視点。統治する王室王朝が変わる。歴史は勧善懲悪の鏡であることが貫かれ君主の行いが中心となり述べられる。臣下の失策が強調。道徳的優位性を示す。王朝の一連の過程で。社会への着目の視点はなかった。近代の歴史学。客観的に証明できる史実による方法が日本に定着すると歴史の進歩や発達という考え方も。
歴史の進歩や発達という考え方は?地球規模のヨーロッパ人の進出は原理的に考察する啓蒙主義を開く。19世紀による産業革命や軍事的優越性。他より優れているという自意識を。発展段階論。19世紀中頃のドイツから。経済システムの高度化を順番に並べる。狩猟採集から牧畜などの再生産経済。商業と工業の発達。農工商の連関で国民経済の段階に。19世紀には産業資本主義に対し資本への労働者の隷属。マルクス。生産手段の所有主体。自由の拡大。発展段階論を呈示。資本主義は必然的に没落すると予言。歴史研究に大きな影響を。朝鮮史研究には依然として影響が多い。狩猟採集時代では階級はなかった。生産物の余剰が発生。指導者たちが実現。階級社会の始まり。生産者は無権利の状態に。古代専制国家。紙に等しい権力を持つ者が。ギリシア・ローマの奴隷制社会。所有する奴隷所有者が自由な市民に。奴隷たちが生産したものは主人のもの。所有権が保障されて。封建制社会。封建領主と農奴。農奴には一定の権利はあったが様々な義務を負う。生産物の一部を手元に留めることは出来る。賦役労働は生産物の納入で代替されるように。領主に対し貨幣で支払うことに進歩。段階的発展。生産力の上昇に起因。社会が豊かになり手工業や商業も発達。商工業者は生産者の権利を。フランス革命の市民革命。資本家として多くの労働者を使い。労働者は自由な主体だが資本家に販売してその対価として賃金をもらうしか無い。賃金は最低限。価値より遥かに低い。差額は生産手段を持つものに。生産手段を取り戻し社会主義政権を。発展段階は人類のどの社会においても普遍的に進行する。世界史の発展法則。17年のロシア革命。ロマノフ王朝を倒しボルシェヴィキの政権奪取。マルクス主義の発展法則も正しいと考えられた。朝鮮史にも適応して王朝の位置づけをめぐり30年代から70年代にかけて。中国や朝鮮には封建制度が存在しない。君主に忠誠を誓った者に対し封土を与え従軍する義務を。軍事的主従関係による国家。封建領主として徴税を行う。日本においては鎌倉幕府から。江戸時代は封建制度の典型例と。ところが中国社会や朝鮮では軍事的主従関係は成立せず官僚による中央官僚制が。排他的に統治して農民から徴収する領主も成長していない。地主と小作する農民や自作農民、奴婢など。朝鮮に絞る。30年代。経済史的な。封建制度が存在したか。アジア的封建制度が存在したとする。未熟なままに終わったと。封建制度は存在しなかったと。社会の発達が停滞したという点では共通。諸列強は封建制度から資本主義にテイクオフした歴史的事実が。封建制度がなかったから停滞した?原因は追及されなかった。高麗は封建制度とする異論もあった。朝鮮史における論争では階級関係を指すのかなどの共有認識はなかった。朝鮮半島は停滞的社会で日本併合は当然だったという点で共通。既に結論と評価はくだされていた。百済から日本に仏教が伝えられたことなど。日本よりも古来においては精神的であったと。朝鮮史の位置づけは難問だった。50年代後半は日本と南北別個に。北朝鮮の研究。封建制度の有無。封建的領主階級。封建的農奴階級。70年代になると18世紀後半の朝鮮社会には資本主義に繋がる、資本家の出現や賃労働者の形成。資本主義の萌芽が。資本主義萌芽論。朝鮮にも世界史の不偏法則が。独自に近代社会へ移行。資本主義萌芽論には北朝鮮の現体制を正当化する性格はあったが。停滞的ではなく近代的に発達していたことは韓国でも受容された。朝鮮時代に探し求める。史実の読み替えが。いずれの研究も発展段階、ヨーロッパを物差しとして裁断していたことは同じ。発展段階論という同じ物差しを用いてどこに当てはまるかだけを。そのようにして朝鮮半島に展開された歴史を見ることは出来ない。証拠を集める方法は学問から離れている。現在のように近代社会に於いては深刻。現在の朝鮮半島のように北と南が。歴史叙述において対立が深刻に作用。植民地権力による上からの近代化。様々な形でのナショナリズム。都市化や戦時体制化など複雑。錯綜した事実の全体に対し善と悪に分類して断罪できると考えるなら現実の世界を過度に単純した政治スローガンに堕する。虚像の呈示へと転落する。全体への配慮がなければ歴史学を名乗れない空虚なものに。
歴史研究の結果や成果が数式として表現されずテクノロジーとして評価もされない。成果に対する評価の基準を立てるとすれば、今まで知られていない事実が認知されるか意味連関が認識されることにより書き換えられるかの学術的意義にある。必ず担保されるべきなのは客観性の保障。実験による検証と際限可能性。データの分析などで実証され真実に。観測されたデータを改竄すれば否定される。歴史学。過去の事実に実験は出来ない。文献史学では記録された記録を基本により読解により吟味をして社会について記述するのが常道。同時代や以前以後の出来事の論理的整合性。幾つかの史料があっても全体像を構築してはならない。研究者自身にも課される。政治思想を元にしてはならない。論じる主体、記述する主体としての価値観についての自覚を。飼い猫の1日の行動についてGPSを。猫の行動の理由などは猫好きの人や猫嫌いの人について同じ?自覚がなければ誤ったものが出来る。
岸本美緒。中国史で近世と。19世紀は近代と。ウォーラーステイン。世界システム論。16世紀のヨーロッパ人の進出を近代と。日本に火縄銃がきたことなどを。銀などの富を巡る活動が新たな統合を。17世紀には新たな社会秩序を。東アジア地域においてヨーロッパ人の接触は中米と違っていたが、新たな秩序が。中国史の歴史区分。高麗王朝は500年近く続く。朝鮮王朝も。歴史区分につき共通認識がない。朝鮮前期朝鮮後期と。伝統的な家族制度や生活様式を見るならば、朝鮮後期に形作られた物が多い。朝鮮王朝の時代、17世紀後半から近世と。ヨーロッパ人による新時代に対して積極的に接触していない。日本史におけるキリスト教布教のようなことはない。19世紀における資本主義と産業化。西洋諸国が軍艦と大砲で接近した直前を近世と。朝鮮王朝とはどのような社会だったか理解することから。中央集権的統治体制に着目。日本では古代の律令国家が解体し武士が躍り出た。日本と朝鮮半島の歴史的分かれ目。

 

朝鮮の歴史と社会-近世近代 (放送大学大学院教材)

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韓国・朝鮮史への新たな視座―歴史・社会・言説

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