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生活リスクマネジメント第4回(その4) #放送大学講義録

いきなりアルゴリズムが出てきて驚いた。

 

-----講義録始め-----

 

これまでに認知バイアスの具体例を紹介してきましたが、では、これらのバイアスが生じる理由は何でしょうか。それは、一般の人々の情報処理の方法に依拠しているからです。

日常生活で問題解決を行う際、私たちはしばしばヒューリスティクと呼ばれる方法を使用しています。このヒューリスティクの使用によって、認識上の偏りが生じ、それが認知バイアスとなります。特に、リスク認知に影響を与えるヒューリスティクに焦点を当てて、その特性や種類について見ていきましょう。

まず、「ヒューリスティク」とはどのようなものなのか、その意味について説明します。ヒューリスティクは、不確かな状況下で判断や決定を行う際に用いる、簡便で直感的な方法を指します。この「ヒューリスティク」は、「方略」の「方」に「策略」の略を加えた言葉です。再度繰り返しますと、ヒューリスティクとは、不確かな状況下で判断や決定を行う際に用いる、簡便で直感的な方法です。

ここで、リスクに関する判断や決定における状況の特性について考えてみましょう。リスクに関する判断や決定とは、不確かな状況下で行うものを指します。不確かな状況では、さまざまな結果が考えられ、状況の多様性が大きいと言えます。すべての可能性について情報を集め、分析、検討することは非常に難しいことですし、認知的なコストがかかります。

そこで、人々はどうするかというと、ヒューリスティクを使い、直感的に、迅速に、おおざっぱに判断します。ヒューリスティクはプロセスを簡略化し、短時間で近似的な結論を導く手続きです。これに対して、論理的なプロセスを経て問題解決に至る手続き全体をアルゴリズムと言います。アルゴリズムでは、どのような状況で何を行うべきかが具体的かつ明確に示されています。したがって、アルゴリズムを使って得られた結論は、一定の客観性を持つことになります。

一般的に、人々は認知的なコストを削減しようとします。すべての情報を考慮して判断するのではなく、簡便な方法で直感的に判断します。市民はヒューリスティクを使ってリスクの生起確率や結果の大きさを判断しますが、専門家は統計データや専門的な知識をもとにアルゴリズムを使って分析します。

このように、ヒューリスティクは効率的でありながら認知バイアスを生じ、結果的に判断を誤ることがあることを説明しました。