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生活リスクマネジメント第4回(その1) #放送大学講義録

(夕方のentryを休んでいたけれど、暫定的に復活。

 

-----講義録始め-----

 

第4回の授業では、リスク認知とバイアスについて考察します。過去の第2回と第3回の授業で、私たちはリスクの様相や、現代社会における各種のリスクについて学びました。今回からは、人々、特に生活者がリスクをどのように認識し、感じ、判断するのかに焦点を当てます。

具体的に、今日のトピックは、人々がリスクをどのようなプロセスで認知するのか、そして、リスクに関する認知バイアス、つまりリスクを歪めて捉える傾向について考察します。全体的な目的は、私たちがリスクをどれだけ主観的に見ているかを理解することです。

リスク認知、英語で「リスクパーセプション」とは何でしょうか。これを理解するためには、リスク自体とリスク認知の違いを明確にすることが重要です。リスクとは、人の生命、健康、資産やその環境に悪影響を及ぼす可能性のことで、その確率や発生した際の影響の大きさから定義されます。一方、リスク認知は、これらのリスクに対する人々の主観的な判断や評価を指します。

現代の「リスク社会」では、社会を構成する人々の認知によって、リスクの評価や対応が変わってきます。従って、リスクを管理や低減するためには、人間の心理や認知のプロセスを考慮する必要があります。

また、言葉の使い方に注意する点があります。特に「生活者」や「生活主体」という用語は、心理学や社会心理学の文脈ではあまり使用されません。英語で「パブリック」と呼ばれるものは、日本語では「市民」や「一般市民」「公衆」などと訳されます。この授業では、心理学の研究の文脈を中心に進めていくため、これらの用語を使用しますが、それらは「生活者」と同義であると捉えてください。