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生徒指導と教育相談第1回(その4)#放送大学講義録

ゴーレム効果は現在も勘弁してほしいところ。

 

-----講義録始め-----

 

教師の指導態度に関して考察します。教師の指導態度は、児童や生徒の学習態度や学級内の行動に大きな影響を与えることが知られています。

特定の研究によれば、この現象は「教師効果」と「ピグマリオン効果」として広く知られています。ピグマリオンとは、ギリシャ神話におけるキャラクターで、自らが彫った乙女像に恋をし、その乙女像が人間になることを神に願った伝説から来ています。この伝説から、期待が現実になるという現象の名前として、ピグマリオン効果という言葉が生まれました。

「教師効果」とは、教師が児童や生徒の学業成績や学習行動に対する将来の予想や期待のことを指します。このような教師の予想や期待を「教師期待」と称します。そして、教師が期待する通り、児童や生徒の学業成績や学習行動が向上することがしばしば見られます。これは、期待が現実化するものと解釈されます。

簡単に言うと、教師がある生徒の学業成績に期待を抱くと、その生徒の成績は教師の期待に応じて向上するという現象をピグマリオン効果と言います。

実験者は、ある小学校で1年生から6年生までの子供を対象に知能テストを行いました。しかし、担任の教師にはこれを「将来の知的開発のテスト」と説明しました。テストの結果とは無関係に、20%の子供をランダムに選び、これらの子供たちは将来知能が伸びると教師に伝えました。8ヶ月後に再度知能テストを行ったところ、指名された子供たちは実際に知能が伸びていました。結果として、指名された子供たちが他の子供たちに比べて高い知能の伸びを示し、知的好奇心の程度も大きく伸びていました。

教師の期待が違うと、その態度も変わります。ある研究者たちは、教師と子供の関係を観察し、教師が高い期待を持つ子供と期待していない子供との間に明確な差を見出しました。高期待を持たれる子供は、正解をしても間違って答えをしても、教師からポジティブなフィードバックを受けやすくなります。教師が子供に期待を持つと、その期待に沿うように子供に接するようになり、その結果、子供は学業に励むようになります。

しかし、過度な期待は、ストレスや挫折感を引き起こす恐れもあります。故に、教師は児童生徒をよく理解しておく必要があります。期待の力とその影響は強力で、これを「自己成就的予言」や「予言の自己成就」と呼びます。この現象は、教室における「ピグマリオン効果」としても知られています。教師が児童生徒を肯定的に評価し、期待することは効果的な指導法であるが、期待が過大になると、その重みとして逆効果となる場合もあると考えられます。

ピグマリオン効果は、教師が子供に対して肯定的な評価と期待を持つことで、その期待に応える形で子供の行動や学業成績が向上する現象を指します。しかし、この効果の逆の側面も存在します。教師が子供に対して否定的な評価や期待を持った場合、その否定的な期待に応じた結果を子供が示すことがあるのです。

具体的には、教師が「この子は勉強ができない」「この子の成績は伸びないだろう」といった否定的な期待を持ち続けると、その子供はその期待どおりの成果を出してしまい、成績がさらに悪化する可能性が高まります。このような現象は「否定的な自己成就的予言」と呼ばれ、ゴーレム効果とも称されます。ゴーレムは、呪文で動く泥の人形の伝説から名付けられました。この伝説のように、教師の否定的な期待が子供の行動を操るかのように作用するのです。

教師としては、このゴーレム効果を引き起こさないように注意が必要です。そのためには、子供を一面的な視点で見るのではなく、多角的、多面的な視点からの理解を深めることが大切です。児童や生徒を理解するための様々な手法や、他の教師との情報や意見の交換は、この多面的な理解をサポートします。

教師のリーダーシップや指導態度は、児童や生徒の学習態度、学習の取り組み方、そして規範意識に大きな影響を与えます。前回、生徒指導と教育相談の第1回では、生徒指導と学級集団について詳しくお話ししましたが、これらのテーマは密接に関連しています。