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生活リスクマネジメント第4回(その2) #放送大学講義録

主観的リスクが客観的リスクより大きいのは航空事故もそうである。まあ東京に行くのなら新幹線が便利だけど。

 

-----講義録始め-----

 

物理的なリスクそのものと心理的に認知されたリスクが存在します。一般的に、前者を客観リスク、後者を主観リスクとして表現します。客観リスクは、望ましくない結果をもたらす事象の生起確率やその影響の大きさを、関連する科学的データから評価します。確かに、データの変動やミスの可能性は否定できませんが、科学的根拠に基づき、妥当な数値や近似的な数値が選ばれます。これが客観リスクです。

主観リスクは、必ずしも科学的根拠に基づくものではなく、人々の感じる恐怖や危険感によるもので、個人の属性や状況によって多様です。客観リスクと主観リスクの間には、ギャップが生じることが多く、これを「パーセプションギャップ」と呼びます。リスク心理学の分野では、このギャップについての研究が行われています。

研究方法として、リスク事象に関する一般の人々のアンケート調査を行い、死亡率の心理尺度を調べ、同時に統計データによる死亡率を比較するやり方があります。パーセプションギャップが大きいリスクとして、遺伝子組み替え食品、抗生物質の服用、原子力などの主観リスクが顕著に大きい場合や、飲酒、自動車の運転、喫煙などの客観リスクが顕著に大きい場合があります。

主観リスクと客観リスクの間のギャップの原因は、リスクの不確実性にあります。リスクは不確実性を含む確率的な概念で、人々にとって認識や判断が難しい。人間の認知能力の限界や不確実な情報処理時のヒューリスティックな方法により、リスク認知のバイアスが生じることがあります。バイアスは歪みや偏見、先入観を意味し、リスクに関する判断時に歪みが生じ、結果として客観リスクとは異なる判断をすることがあります。