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リスク社会での信頼の役割🌐✨ 生活リスクマネジメント第13回(その1) #放送大学講義録

人間の生活は信頼を無視して語れない。

 

-------講義録始め------

 

皆さん、こんにちは。生活ディスクマネジメントの第13回授業を始めます。私は奈良と申しまして、主任講師を務めております。これまでの授業で、私たちはリスク社会を理解し、その中での生活の方策を検討するために、リスクの様相認識や対処の基礎について学び、自然災害や食品安全問題といった具体的な生活リスクについて話し合ってきました。

今回と次回の授業では、リスク社会の中での私たちの生活のあり方について、さらに積極的で主体的な検討を行います。具体的に、第13回のテーマは「信頼とリスク」です。信頼という概念は、特に現代社会でリスクを考える際のキーとなる分析概念です。授業を通じて、信頼の意味や生活の安全・安心との関連性を探ります。そして、リスクを巡るさまざまな主体間での信頼構築の意義や可能性、さらには主要モデルや具体的な事例を示しながら、信頼構築について考えていく予定です。どうぞよろしくお願いいたします。

信頼とは、他者や組織、専門家などが提供する情報や行動に対して、良い結果を期待して自己を委ねる心理的な状態です。複数の人間が関わる社会においては、信頼は重要な役割を果たします。信頼は社会科学の分野、特に社会心理学、経済学、政治学などで研究され、理解されています。

現代のリスク社会において信頼が重要な理由は、専門的な知識や技術に依存する社会構造が成立しているからです。私たちの日常生活は多くの外部資源や専門家の知識に依存しており、これによって生活の安全や適切な機能が保たれています。しかし、その外部依存度が高まると同時に、私たちはその専門家や組織に対して信頼を置く必要が生じます。

たとえば、朝の日常行動でも、卵を食べる際のリスクや電車に乗る際のリスクを自分で完全にコントロールすることは難しいです。これらのリスクを回避するために、私たちは外部の専門家や組織に対して信頼を寄せることで安全を確保しようとします。この信頼がなければ、日常生活が著しく制約される可能性があります。

信頼は、専門機関や専門家に対する主観的な安心感と深く結びついています。専門家や組織は、客観的な安全性だけでなく、個々の人々が主観的に安心できる状態を提供する必要があります。専門家の側も、信頼を築きながら安全性や信頼性を維持する努力が求められます。

このように、現代社会においては専門的な知識や技術への信頼が不可欠であり、私たちの日常生活の安全や機能を保つために重要な役割を果たしています。信頼は社会の基盤を支える重要な要素であり、リスク社会における生活の安定性に関わる重要な概念です。