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生活リスクマネジメント第1回(その3)#放送大学講義録

リスクの研究と言っても多数多様であることを知る。

 

-----講義録始め-----

 

これまで、生活、生活主体、および生活者という概念について説明してきました。次に、リスクの定義とリスク研究の概要について進めていきます。この科目でのリスクの定義は、人間の生命、健康、資産、およびその環境に望ましくない結果をもたらす可能性として捉えられます。リスクには様々な種類があり、それらは自然災害、事故、犯罪、戦争、サイバー空間の問題、健康問題、食品問題、社会生活上の問題、経済問題、政治や行政の問題、環境エネルギー問題、そして複合問題といった問題領域で発生します。

リスクは多くの学問領域で研究されており、それぞれの分野には独自のアプローチや方法があります。経済学では、経済的損害の測定や補償の方策、経済的活動のリスク、福祉や社会保障の策定などが研究テーマとなっています。社会学では、リスク社会論やリスクがもたらす社会構造の変容、社会階層によるリスクの影響などが主な課題として取り上げられています。心理学では、リスク認知やリスクコミュニケーション、リスクに対する一般の認知や認識などが研究の焦点となっています。経営学では、企業のリスク管理や企業活動における様々なリスクが研究のテーマとなっています。

生活者にとってのリスクマネジメントは、生活の安全や安心を確保し、生活の質を向上させるために重要です。生活は多面的で総合的なものであり、様々な活動や環境との相互作用の中でリスクが伴います。したがって、一つの学問領域だけでなく、複数の学問領域の知見を取り入れながら、生活のリスクにアプローチすることが求められます。生活経営学では、生活者にとってのリスクの本質やリスク管理の意義と方法について実践的な研究が行われています。生活におけるリスクマネージメントの目的は、生活の安全・安心を確保し、生活の質を向上させることにあります。

この科目では、生活者にとってのリスクを中心に考え、その管理の方法を学ぶことを目的としています。生活の中での様々な活動、例えば衣食住や働くこと、子育てや病気の治療など、それら全ての活動はリスクとともに存在します。そのため、生活のリスクを総合的に捉え、それに対する対策や管理方法を学ぶことが重要です。