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日常で役立つ!リスクマネジメントの秘密 生活リスクマネジメント第7回(その1) #放送大学講義録

リスクマネジメントが大戦前から存在していたのには驚いた。

 

-----講義録始め-----

 

皆さん、こんにちは。今回は、生活リスクマネジメントの第7回の講義を開始します。私は奈良と申しまして、主任講師を務めております。よろしくお願いいたします。

本日のテーマは「リスクマネジメントの基本」について学びます。リスクに関する議論には、リスクの様相、リスクの認識、そしてリスクへの対処、この3つの観点が存在します。これまでの講義では、リスクの様相と認識について深掘りしてきましたが、今回からは、リスクへの対処に焦点を当てて探求していきたいと思います。

今日の講義では、リスクを効果的に管理し、低減する手法としてのリスクマネジメントについて考察します。その中で、リスクマネジメントの意義と基本的な手法を提示していきます。さらに、私たちの日常生活において、どのように主体的にリスクマネジメントを実施するのか、その考え方も紹介いたします。

リスクマネジメントの定義について説明します。それは、リスクやその悪影響を最小限に抑えるための計画的かつ主体的なマネジメントプロセスであり、リスクの評価とその対応策を含む管理活動のことを指します。リスクマネジメントは、実際の業務での実践のみならず、学問の領域としても研究されてきました。このアプローチは主に、企業経営の中で生まれました。

企業経営の文脈で、リスクマネジメントのルーツには2つの重要な起点があります。一つは、第1次世界大戦後の1910年代に、インフレで苦しむドイツの企業が取り組んだ「危険政策」というリスク対策です。もう一つは、1929年の世界大恐慌をきっかけに、アメリカ企業が展開したコスト管理を中心とした戦略です。これらの背景を踏まえた上で、フランスのアンリ・ファイオール氏は、リスクマネジメントの重要性を初めて学問的に提唱しました。

ファイオール氏は、企業経営には6つの主要な活動があるとしました。それは、生産、販売、財務、会計、保全、そして管理です。ここでの「保全」が、現代でいうリスクマネジメントに相当します。この考え方が紹介された100年以上前から、リスクマネジメントの重要性が認識されていたことは非常に注目すべき点です。

さて、日本でのリスクマネジメントの歴史を見ると、1956年のハーバードビジネスレビューに掲載されたラッセルギャラガーの論文が、その導入のきっかけとなりました。これに影響を受け、1960年代から1970年代にかけて日本でも紹介され、当初は保険の観点からのアプローチが中心でしたが、現在では経営学の一部分として確立されています。

近年では、企業経営だけでなく、国家や地方自治体、学校、病院、NPOといった様々な組織や、家族や個人という日常生活の単位においても、リスクマネジメントの考え方が取り入れられています。

生活者としてのリスクマネジメントは、日常のリスクを効率的に管理し、安全で安心な生活を追求するものです。その目的は、生活の質を高めることにあります。

 
 
 
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