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信頼を築くリスクコミュニケーション🔍 生活リスクマネジメント第13回(その2) #放送大学講義録

コミュニケーションは信頼が下敷きになる。

 

-------講義録始め-------

 

ここで、リスクコミュニケーションについて考えてみたいと思います。すでに第8回の授業でお話ししましたが、客観的安全と合わせて主観的な安心を確立するためにリスクコミュニケーションが行われるということを、ディスクコミュニケーションの研究と実務の中で、一貫して非常に重要なキーワードとして扱われてきたのが信頼です。

スロビックは信頼の非対称性原理を提唱しました。信頼は獲得するのは難しいが、一方で失うのはたやすいという原理です。これには、1つに、事故やミスや理想などのネガティブな出来事が気づかれやすく、伝えられやすい、2つ目には、ネガティブな出来事は、肯定的な出来事に比べて信頼、評価に影響しやすい。3つ目には、ネガティブな事実の方が、肯定的な事実よりも一般化されやすく、信じられやすい。そして4つ目には、一旦生じた不信は、その後の情報処理の枠組みを作り、さらなる不振に繋がっていく。まといったような理由が関与しています。

この原理には、情報の送り手や情報の内容に対する信頼がリスクに大きな影響を与えているということも示されています。また、1970年代後半以降、欧米のリスクコミュニケーションの実践が不調に終わった理由の1つとして、情報発信者への信頼の不足があったことも指摘されています。専門家が信頼されていなければ、同じリスク情報でも受ける人々の反応は異なるということが、社会心理学の研究で広く認められています。

さらに、実務のレベルでも信頼の構築が重視されています。例えば、アメリカ環境保護庁はリスクコミュニケーションの使用ルールを挙げていますが、その中には次のようなルールがあります。人々の声に具体的な懸念や不安に耳を傾けよう。人々は、統計データや細かな事実よりも、信用や信頼、性格、公正さ、共感を重視することが多い。そして、正直で率直でオープンであれ、信用と信頼を得ることは難しい。一旦失った信用と信頼を取り戻すことはほとんど不可能である。こういったルールからも、リスクコミュニケーションでは、信頼構築がその根底をなしていることがわかります。

また、地域社会との交流の意義については、次のように示されています。人々は、自分たちの生活に直接の影響を及ぼす問題について判断を下す権利がある。可能な限り早い段階から地域社会を関与させよう。協力によって信頼感が増す。こうした具体的なガイド、地域住民との関係についての示唆は、リスクコミュニケーションにおける参加の重要性を示すものです。

住民たちに不安な気持ちだけでなく、自らの価値観や判断を含めた意見表出が、しかも早い段階で行える機会になること。これがリスクコミュニケーションのプロセスにおいて不可欠であり、信頼を高める要素となるとされています。このようなガイドに具体化されているように、リスクコミュニケーションにおける信頼構築にとっての参加の重要性は様々に指摘されています。また、信頼構築のためのさらに実際的な参加に関する手法として、住民をメンバーとした委員会の立ち上げが有効であるとして提案されます。その有効性の理由は、人々は専門家よりも隣人を信頼するということになります。