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武蔵野市の危機!リスク対話の勝者 生活リスクマネジメント第13回(その4) #放送大学講義録

ゴミ処理の問題は難問で、高槻市でも数年前に施設建設でもめたことがある。

 

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これまでの話を踏まえ、具体的な事例に目を向けたいと思います。リスクコミュニケーションは、政策決定に直接つなげる社会的意思決定を目的とするものと、それを目的としないものの2つに分けられます。後者は政策決定に必ずしも繋がるものではなく、リスクに関する知識や判断基準、価値観を専門家と市民とで共有し、問題についての認識を深めるリスクコミュニケーションを目的としています。この例として、原子力発電所立地地域での反復型対話フォーラムが挙げられます。詳細は印刷教材に記載されているため、そちらを参照いただきたいと思います。

東京都武蔵野市の事例を詳しく見ていきます。武蔵野市は、高度経済成長期に人口が急増し、ゴミ処理問題が深刻化しました。武蔵野市には独自の廃棄物処理施設がなく、隣接市町の施設を利用していたが、増加するゴミ量に対して隣接地域の住民が抗議しました。そこで市は自らの施設の建設を決定。1973年に市民委員会が設置され、ゴミ処理の方針が議論されました。しかし、建設予定地が決まらず、1978年に当時の市長がある地域を突然建設予定地として発表。この突然の発表と、選定の経緯や根拠の不透明さから、住民は建設に反対しました。住民は用地選定の見直しや、建設用地選定過程への住民参加を求めましたが、当初は市側はこれを拒否し、対立が激化しました。

その後、市長が交代し、新市長のもとで市と住民の間のリスクコミュニケーションが始まりました。結果として全ての住民の賛成は得られなかったものの、市と住民の合意のもとでゴミ処理施設の建設が進められました。

この事例の中で、リスクコミュニケーションの成功要因として2つのポイントが挙げられます。1つ目は、情報の公開。市の取り組みや選定の経緯、根拠などが住民に公開されたことで、透明性が保たれ、市民の信頼を得ることができました。2つ目は、市民委員会の設置。建設候補地の選定過程に住民が参加できる場を持つことで、住民の意見や懸念を直接市に伝えることができ、市民と行政の対話が深まりました。

このようなリスクコミュニケーションの取り組みは、地域社会における問題の解決や政策の策定に大きく貢献しています。