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生活リスクマネジメント第4回(その3) #放送大学講義録

認知にバイアスがかかっていることは意識するべきだろう。

 

-----講義録始め-----

 

ヒューリスティックについては後ほど詳しく説明しますが、次に認知バイアスについて見ていきます。認知バイアスとは、特定の状況や情報を評価する際に生じる、認知のゆがみや偏見のことを指します。正常性バイアス、楽観主義バイアス、ベテランバイアス、バージンバイアス、そして同調性バイアスがその代表的な例です。

まず、正常性バイアスについてです。このバイアスは、異常な事態やリスクを過小評価してしまう傾向を指します。つまり、異常な出来事や緊急事態を正常な範囲内に収めようとする心理的なプロセスです。このバイアスが働く場面として、自然災害の生起確率を過小評価し、警報を無視したり避難を遅らせるケースが挙げられます。

楽観主義バイアスは、異常事態でも楽観的で明るい側面を見ようとする傾向を指します。これは自分の都合に合った形で情報を歪めて認知する心理的プロセスであり、リスクを過小評価する原因となります。例えば、喫煙者が1本だけ吸うことは大丈夫だろうと考え、毎日の喫煙を続ける行動がこれに当てはまります。

ベテランバイアスは、経験から学んだことによりリスクを弱めて見てしまう傾向を指します。過去の経験が判断に影響を与え、新たなリスク事象についての判断を誤らせる可能性があります。

バージンバイアスは、未経験のリスク事象に対してリスクを緩めて見る傾向を指します。未知の情報に対する判断の手がかりがないため、過大評価や過小評価が生じる可能性があります。

同調性バイアスは、周囲の人々に同調してリスクを認知する傾向を指します。周囲の人々がリスクを強く認知していると、自分も同様に認知する傾向があります。逆に、周囲がリスクを軽視している場合には、自分も同じようにリスクを認知しなくなる可能性があります。

これらの認知バイアスは、我々の判断や意思決定に影響を与える要因となります。しかし、これらのバイアス自体は必ずしも悪いわけではありません。正常性バイアスは心理的な安定を保つための自己防衛機制として役立つ一方、楽観主義バイアスはストレス軽減に寄与する場合もあります。ただし、過度なバイアスが誤った判断を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。