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2014年犯罪リスク🚨: 実態と数字で解説 生活リスクマネジメント第10回(その1) #放送大学講義録

犯罪統計には大抵は暗数は考慮されない。現れるのは氷山の一角かもしれない。

 

------講義録始め------

 

生活リスクマネジメントの第10回の授業を開始します。私は主任のシナです。よろしくお願いします。今日のテーマは「犯罪とリスク」についてです。生活を安全に、安心して過ごすために、犯罪というリスクにどのように向き合い、どのように対処するかを考えてみましょう。

まず、犯罪の様相を理解するための重要なデータとして「犯罪の認知件数」があります。しかし、この認知件数について考える前に、認知件数とは具体的に何を意味するのかを明確にしておきたいと思います。犯罪の認知件数とは、警察が犯罪の発生を確認した件数を指しますが、これは全国で発生した犯罪の実際の発生件数とは異なります。具体的には、犯罪が発生し、その犯罪を目撃または遭遇した人が警察に通報し、警察がその犯罪の発生を確認した時点で、その犯罪は「認知」とされます。しかし、犯罪が発生しても、当事者や周囲の人々がそれを犯罪として認識しなかったり、警察に通報しなかったり、あるいは警察が犯罪として認識しなかった場合、その犯罪は認知されません。このように認知されなかった犯罪の件数は「ダークナンバー」として知られています。したがって、認知件数は実際に発生している犯罪の発生件数の一部であることを理解しておく必要があります。警察はこの認知件数を基に犯罪の実態や動向を把握しており、今日の授業でもこの警察統計をもとに話を進めていきます。ただし、統計を見る際には、上記のような点に注意を払ってください。

では、具体的な数字について見ていきましょう。警察庁の資料によると、2014年の刑法犯の認知件数は約176万件で、その中の一般刑法犯の認知件数は約120万件でした。一般刑法犯とは、自動車運転過失致死傷や業務上過失致死傷などを除いた犯罪を指します。そして、この認知件数は2002年をピークに、2003年以降減少傾向にあります。具体的にどの犯罪が多いのかというと、2014年のデータによれば、窃盗が一般刑法犯全体の74%以上を占めており、圧倒的に多い犯罪となっています。また、一般刑法犯の検挙率は昭和期には60%前後でしたが、平成に入ると低下し、2001年には19.8%という戦後最低の数字を記録しています。しかし、2002年以降は上昇し、2014年には30.6%となっています。これらの詳しい数値や推移については、印刷教材を参照してください。

次に、犯罪被害の状況について概観します。2014年において、人が被害を受けた一般刑法犯の件数は約97万4000件、人口10万人当たりの被害発生率は766.4人でした。死亡や障害といった重大な被害に関しては、2014年の一般刑法犯による死亡や障害の被害者は約3万2000人であり、その中で死亡者数は841人でした。犯罪による被害者の性別や罪種による違いなどの詳細は、印刷教材に掲載してありますので、そちらを参照してください。また、財産被害の部分では、2014年の被害総額は約1820億円となっており、その中でも詐欺による被害が最も多く、46.5%を占めています。窃盗による被害は44.7%となり、詐欺の被害総額が窃盗を初めて上回った年となりました。被害金額の経年推移などの詳細も、印刷教材を確認してください。

以上、犯罪というリスクに関する客観的なデータをもとに、犯罪の実態を理解するための授業を行いました。