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DVは身体的暴力を超え、被害者の心と生活を支配。後遺症や子供への深刻な影響を含む重大な人権問題として捉えるべきです。(家族問題と家族支援第10回)♯放送大学講義録

子供への影響も見逃せないところである。

 

------講義録始め------

 

ユウさんの体験を通じて、ドメスティックバイオレンス(DV)の本質とその深刻な影響を考える機会を持ちました。DVと聞くと、多くの人が身体的な暴力を思い浮かべるかもしれません。しかし、DVの根底にあるのは、加害者が暴力を通じて被害者を支配し、その意志を奪うことです。閉じられた空間で、加害者は身体的、言葉による暴力、経済的圧迫、精神的虐待など、多岐にわたる方法で被害者を脅し、支配下に置きます。被害者はこの圧倒的な恐怖と緊張の中で、加害者の要求に従わざるを得なくなります。

ユウさん自身、何をされるか分からない相手に対する恐怖、常に地雷を踏まないように慎重に生活する必要があったと語っています。このように、DVによって被害者は自分の感情や考えをコントロールされ、自信を喪失し、生きる力さえも奪われてしまいます。

一般的に、DV被害者に対して「なぜ逃げなかったのか」という疑問が投げかけられることがありますが、これは誤解に基づくものです。DVを受け続けることで、被害者は逃げるための力さえも失ってしまうのです。加害者からの脱出後も、DVの影響は容易に消えるものではありません。精神的なダメージは深く、PTSDやうつ病などの精神疾患を引き起こすことがあります。ユウさんも、長年にわたるDVの後遺症に苦しんでいます。心の傷は深く、回復するためには長い時間と専門的な治療が必要とされます。

そして、DVが子供に与える影響についても重要な問題です。DVの環境下で育った子供は、直接的な暴力の対象でなくても、その暴力の証人となることで心に深い傷を負います。ユウさんの子供も、加害者の元から脱出した後、様々な問題を抱えることになりました。DVによる子供への影響は深刻であり、直接的な被害者と同様に、回復には時間が必要です。

DVは、家庭内の問題にとどまらず、人権を侵害する重大な社会問題です。特に女性が被害者になるケースが多く、女性の人権問題として捉えるべきです。政府はDV防止法を施行し、全国調査を実施しているものの、DVは依然として広く存在する問題です。社会全体でDVに対する認識を深め、被害者支援の体制を強化する必要があります。ユウさんの体験は、DVの実態とその影響を理解し、被害者への支援を考えるための貴重な事例と言えるでしょう。