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バレエの基本原理「アン・ドゥオール」と「エレヴェーション」を解説。(舞台芸術の魅力第5回)#放送大学講義録

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バレエの本質的な特徴をごく簡単にまとめますと、2つの原理に分かれます。アン・ドゥオールとエレヴェーションです。

エレヴェーションから先に説明しますと、これは「上へ持ち上げる」という意味のフランス語です。バレエは常に「上へ上へ」と向かう、あるいは体が上から引っ張られているようだというのが基本姿勢になります。バレエを習っている子供たちが姿勢が良くて背中がピンとなっているのはそのためです。

これは、関西でバレエダンサーやバレエを習っている子供たちの問題を数多く扱ってきた蘆田ひろみ先生からお借りした、一般女性の背骨とバレエダンサーの背骨のレントゲン写真ですが、一般の女性よりもバレエダンサーの方が背筋がずっとまっすぐに伸びていることがわかります。

もう1つのアン・ドゥオールというのは、「外向き」、「外へ」という意味のフランス語です。日本では伝統的にバレエの先生方はアン・ドゥオールという風に発音していますが、これを具体的には、足を通常よりもずっと広く外へ開くことです。

この図をご覧ください。これはバレエの基本ポジション5つを表しています。 この5つのポジションが文献に初めて登場するのは17世紀のことです。それ以来、現在に至るまで使われている基本ポジションです。これをご覧になればわかるように、普通よりもずっとつま先が外側に向いています。 これが現在もバレエの基本ポジションとして採用されています。

では、どうして足を外側に開かなければならないのか。普通の人は、足を前方にはかなり高く持ち上げることができますが、横向きや後ろにはほとんど持ち上げられないのが普通です。 それに対して、子供の時から足を開く訓練をしていると、横にも後ろにも高く足が上がるようになります。 そして、なぜ足を高く上げなければならないのかと言えば、それは表現力が格段に広がるためです。そして、股関節は成長とともにだんだん硬くなっていくので、本格的なバレエダンサーになるためには、やはり子供のうち、つまり股関節が柔らかいうちに始めなければならないとされています。