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フランスでは、印刷教材に解説しているように、ビアジェという固有の仕組みがあります。売り手がいつ亡くなるかわからないため、買い手にとってはリスクの高い取引です。買い手の方が先に亡くなる事例もあります。そのため、かなり値下げしないと取引が成立しない場合があります。このようなビアジェ契約の課題を解消するために、フランス不動産銀行が中心となり、米国のリバースモーゲージを参考にして年金型住宅融資を開発し、2006年から商品提供を行っています。しかし、米国と異なり政府の保険が付いていないこともあり、実績はあまり多くないようです。
フランスにはビアジェという仕組みがあります。どんな仕組みでしょうか。こちらはビアジェの仕組みをテーマにした「パリ3区の遺産相続人」という映画の一コマです。主人公は父親から住宅を引き継ぐのですが、そこに高齢者が居住しており、その高齢者が亡くなるまでお金を支払い続けるというのです。これがフランスのビアジェの仕組みです。高齢者が持ち家を売却し、一時金(ブーケ)を受け取ります。その後、毎月定期収入(レント)も受け取ります。そして、亡くなった際に住宅を買い主に渡すことになります。売買契約は終了しており、家の所有は買い主に渡っていますが、高齢者が生きている間は家を明け渡す必要がなく住み続ける権利と、亡くなるまで毎月年金のように定期収入が入る権利があります。高齢者からすると、住まいと生活費の不安はなくなるというメリットがあります。買い主からすると安く家を買えるというメリットがありますが、売り主である高齢者が非常に長生きする場合もあり、リスクを伴うことになります。世界では様々な仕組みがありますね。