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NPO法人と市民自治の役割(市民自治の知識と実践第7回)#放送大学講義録

ーーーー講義録始めーーーー

 

NPO法人の講義について

NPO(非営利活動団体)は、社会における問題解決に重要な役割を果たしています。本講義では、NPO法人制度の概要、現状、課題を簡単に概観します。また、地域コミュニティ団体(自治会や町内会など)の市民自治における役割をNPO法人と対比しながら検討します。


1. 市民自治、市民参加、市民活動、そしてNPO

市民自治とは、社会や公共の課題を多様な市民が自ら主体となって行動することで解決する仕組みです。こうした市民の行動は、市民参加や市民共同といった用語でも表現されます。ただし、市民個人が単独で公共に関する考えや哲学を実現することは難しい場合が多いです。そのため、市民は志を共有する仲間と共に団体や組織を設立し、共同で具体的な活動を行います。

団体の編成や組織化の実践については、別の講義(第12回)で詳しく説明します。この講義では、市民自治を実現するための団体や組織として、特定非営利活動促進法に基づいて設立される法人、すなわちNPO法人の制度を中心に、その概要や現状を解説します。また、伝統的な地域コミュニティ団体についても関連づけて触れます。


2. NPOと市民活動の役割

NPOは、公共の課題に関わる活動を行い、その団体の構成メンバーに収益を分配することを目的としない団体を指します。類似した用語としてNGO(非政府組織)があります。日本では、NGOは国境を越えた非政府・非営利の組織を指す場合が多いですが、国際社会ではNPOとNGOの用例はほぼ一致しています。

NPOは、政府や市場(営利企業)以外の社会的な部門「サードセクター」に属します。営利企業がNPOと同様の活動を行うこともありますが、営利企業の目的は利益の確保であり、非営利の活動とは異なります。非営利活動は収支が成り立たない場合も多いため、営利企業とNPOを同じ競争環境に置くことは現実的ではありません。


3. 法人格とNPO法の制定

団体が高い目的を実現するためには、単なる任意のサークル的な存在では不十分です。団体が単一の意思を持ち、権利や義務の保持者となるためには「法人格」が必要です。法人格を持つ団体を「法人」と呼びます。

NPOの存続と発展には、営利企業(株式会社)とは異なる活動原理に基づく法人制度が求められました。その結果、1998年に「特定非営利活動促進法」(通称:NPO法)が制定されました。この法律に基づいて設立された法人を「NPO法人」と呼びます。