ーーーー講義録始めーーーー
NPO法人制度の概要
次に、NPO法人制度の概要について説明します。
市民自治を担う民間の非営利団体を法人化する制度は、かつては19世紀末に制定された民法に基づく公益法人制度のみでした。この公益法人制度は税制上の優遇措置がある一方で、主務官庁(大臣や知事)の厳格な指導監督を受ける必要があり、非営利かつ多様で活発な市民活動を法人制度として支える仕組みには不向きでした。
1970年代以降、より多様で活発な市民活動を支える法人制度の設立が求められるようになり、特に1995年の阪神・淡路大震災を契機に、その動きが活発化しました。そして1998年3月に「特定非営利活動促進法」(通称:NPO法)が制定され、同年12月に施行されました。この法律は、ボランティア活動など市民による社会貢献活動の健全な発展を促進し、公益の増進に寄与することを目的としています。
特定非営利活動の内容と要件
NPO法では、法人化された団体が行える活動を「特定非営利活動」とし、その内容を次のように規定しています:
- 活動内容:保健、医療、福祉の増進など20種類の活動
- 目的:不特定かつ多数の人々の利益の増進に寄与すること
- 要件:営利目的ではないこと、宗教活動や政治活動を行わないこと
印刷教材の「図7-1」では、これらの活動内容や要件が図解されています。
法人設立の手続き
NPO法人を設立するには、必要な書類を揃えて所轄庁に申請し、認証を受ける必要があります。この認証には行政の裁量はなく、要件を満たしていれば必ず認証されます。その後、申請者が登記を行うことで法人が設立され、活動を開始できます。法人は定款に基づき、設立目的に沿った活動を行う義務があります。
収入と活動報告の義務
NPO法人が活動を続けるためには、事業経費を賄うための収入を確保する必要があります。営利を目的としないため、主な収入源は寄付です。そのため、寄付者や関係者に対し、活動の成果を適切に説明することが求められます。
NPO法では、毎年度の事業報告書や経理書類を整備する義務が定められています。これは法人としての透明性を確保するために必要な措置です。
認定NPO法人制度
NPO法人が一定の要件を満たし、所轄庁から「認定」を受けると、そのNPO法人に寄付をした人が税制上の優遇措置を受けられるようになります。この制度を「認定NPO法人制度」といいます。
認定要件の一つとして「パブリックサポートテスト」があり、寄付金収入が全体収益の5分の1以上であることなどが求められます。これについては、印刷教材の「図7-3」を参照してください。