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公立博物館の経営形態:直営・指定管理者・地方独立行政法人(博物館経営論第12回)

大阪市立科学館がどのような歩みを続けるかには関心がある。

 

佐々木亨。高井建司。公立博物館の経営形態。事業に影響し制約になることも。直営、指定管理者、地方独立行政法人。
何故公立博物館にとり経営形態が重要か。博物館の運営には特定の価値観が必要だが、地域との連携が難しい。民族学博物館なら文化を後世に残したいと。日本の場合、博物館の4分の3が公立博物館。特定の価値観を共有する人間だけでなくそうでない人にも。特定の価値観と地域の公共性を。経営形態。何処まで折り合いをつけることが出来るか。予算執行や契約での柔軟性など。公立博物館の形態。
選択できる経営形態。組織の範囲が広がる。変遷。地方自治法。地方公共団体は博物館など地域の福祉を増進するための公の施設を。管理運営できるのは直営や2分の1以上の法人が。管理委託制度。公共事業の民営化が地方に波及。原則的に直営としてきた事業を別組織である財団法人に委託する形式が普及。事務の効率化や財政負担の低減など委託。柔軟性や人材の登用などのメリットが。90年代後半には職員出向での定員隠しなどの弊害で、利点の悪用と指摘が。03年の地方自治法の改定。法人その他の団体である指定管理者に管理を行わせることが出来ると。広く民間事業者が可能に。指定管理者制度。管理主体に制限が無くなる。指定管理者に委任。
指定管理者制度の現状と課題。実体を数字から把握して事例を。総務省は地方自治法が13年の翌年から導入状況等の調査を。16年の調査。全国合計で7万以上に。指定管理者制度の導入率。レクリエーションスポーツ施設。産業振興施設。産業情報提供施設など。基盤施設。公園公営住宅駐車場など。文教施設。博物館図書館など。社会福祉施設。病院など。指定管理者制度の導入。13年の博物館調査。公立博物館から回答。導入率。人高10万人未満の自治体では低い。契約期間は4年から5年が多い。長くなる傾向。教育委員会所轄では低い。首長部局では高く博物館が持つ社会的役割を期待する。NPOなどの人材を活用したい。公立博物館の。学芸部門以外を指定管理者が。古代出雲歴史博物館。NPO法人は決して多くないが成功事例も。野田市郷土博物館など。指定管理者制度の課題。直営による経営か併用か。これまで複数回の更新が。導入についての課題。事業の継続性確保。人材確保。柔軟性確保。留意すべきなのはレクリエーションスポーツ施設である体育館などは上手く機能している事例がたくさんある。
全国に先立って地方独立行政法人制度について大阪市の高井建司。独立行政法人を。大阪歴史博物館の学芸員をしたりしていたが。博物館整備の歴史。戦前の36年に市立美術館を。37年に電気科学館を。特徴としては総合博物館ではなく特定の専門館を整備。21年度には新美術館を中之島に建設予定。6館を経営する機構として博物館機構を。半径5キロの圏内に。地下鉄の駅が近くに。資料が185万件。入場者。16年で5館合せて250万人。科学館で73万人。運営にかかる費用や収入、従業員。25億円の費用。収入は好調だと6億円少し。職員の数は120人くらい、半分が学芸員。地方独立行政法人以前。早い段階では市の直営。大阪市立東洋陶磁美術館は財団法人に。科学館も新館建設で財団法人に。大阪歴史博物館も移転して財団法人に管理委託を。指定管理者制度で06年に管理代行を。その時に自然史博物館についても指定管理者制度に。財団をくっつけたり4館で。それで18年まで。長年にわたり指定管理者制度に。課題は?その解決は?期限定めて。満了になるたびに選定する。その時時に変わる可能性がある。博物館活動は長期の準備が必要なことも。友の会などの長期の関係が。職員との関係も。指定管理者制度をする際には法人を指定して計画書を出してもらい。第三者の選定委員会に計り決定する手法を。継続性をやっとのことで確保。様々な問題点があったが事業計画書を出してもらい継続性を。しかし克服できない課題が。人材の安定的確保。公募でないにしても必ず選ばれる確約もない。運営を設置者の代行でするので裁量の範囲は狭くなる。基本的事項は条例などで縛るので柔軟性や自主性は難しい。博物館施策や予算。設置者側に。予算や施策など。ガバナンスが効いていない。事業の継続性と人材の安定的確保。臨機応変に柔軟性や自主性を発揮。ガバナンスも。指定管理の問題。06年から不向きだと抜本的な改革を模索。国の独立行政法人制度の地方版の独立行政法人の制度が使えないかと。
地方独立行政法人の制度。地方独立行政法人法の2条。公共上の見地から確実に行われる事業であり自治体が認めるものを。3条。法人が行う事務や事業が地域社会や地域経済の安定など公共的に。業務運営の自主性に配慮を。人材の安定的確保や自主性が。すぐにでも適用できる?当時の法律では業務の範囲が。5つ。試験場、大学、経費を収入であてるもの、鉄道など、社会福祉の事業などに限定。博物館は公共的施設に該当するが政令で含まれていなかった。06年の段階で法律上は出来ない。しかしアクションを。06年と08年に構造改革特区制度を。例外として認めてほしい。08年には一歩手前までいったが。機会を見つけて国に求める。16年に改正がされ公共的施設の例として博物館が。地方独立行政法人の道が。独法化への道。現在の5館に加えて一体的に運営。事業の継続性と人材の安定的確保を。仕様書に基づくものではないので、開館時間や料金など機動的に。業務改善などが期待できる。連携により企画における総合力。専門力の発揮や相互フォロー。各館に共通する事務や調達などの効率的効果的運営。一体的経営で。市としての機能と博物館経営を一体化。サービスの向上が。ガバナンスの確立。非常に博物館の経営にとり素晴らしいことに。では全ての博物館は地方独立行政法人になるのが望ましい?選択肢の追加を一貫して主張してきた。直営を続けるケースもある。直営と指定管理者制度の併用も。地方独立行政法人の設立にはシステムの変更などの初期投資や経費の増加も。それが見合うものかどうかが問題。大阪市の場合は新たな経費は?設立準備で1億7000万。最初の5年間では指定管理者制度よりかかる。多い年には1億円以上に。これも5年後以降は採算ベースに乗ってくると。法人化の効果が。地方独立行政法人化するにあたり検討するポイント。政令改正で認可基準に、法人が運営することが効率的に。博物館等が一定の規模を有する。小規模館では効率的とは言えない。PDCAサイクルの活用でより一層の成果が上がること。全国どこでも最適だとは言えない。自治体や博物館のおかれた活動や課題などを考えて最適な組織形態が。選択肢の1つだと考えている。

 

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