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教育行政と学校経営の展開(教育行政と学校経営第1回)

シルバー民主主義では教育予算が少なくなりがち。そもそも子どもに参政権が無いのが問題で、保護者に代理で行使させるなどの制度設計が必要かも。

 

村上佑介。教育行政と学校経営の展開。現代の日本の教育が直面する教育課題について何をすべきかを。教育行政や学校経営を対象として分析する視点や考え方の獲得を。個別の仕組みも重要だが。果たすべき役割とは何か、教育行政学校経営の観点から課題を分析する。ガイダンス的内容として教育行政と学校経営。教育行政学校経営の歴史的経緯について第二次世界大戦後の政策動向や研究動向を。
教育行政と学校経営の定義と役割。教育行政と学校経営の学術的定義は論者により様々。比較的広い概念を採用。教育行政。政府が教育に関する行政行為。学校経営。学校が教育目的を達成するために資源を整備活用運営すること。教育行政の任務。条件の整備。憲法26条に。等しく教育を受ける権利を有すると。教育行政の重要な任務。教育のインフラストラクチャーの整備を通して権利を保障する。条件を整備する任務。具体的な教育政策や学校経営では相矛盾する側面も。個々の子どもを伸ばすことは望ましいこと。しかし権利保障と基盤としての教育という側面は衝突することも。国家間競争のためにエリート教育を重視する。偏重すると他の子どもの教育が問題。国家に都合の良いことばかりを教えていては教育の権利を損なう。経済的な効率性や生産性を重視するならプラスになるものだけを公費負担にすることも考えられるが、特別支援教育など財政支出を伴うが公的なものも。準公共財。必ずしも教育サービスを市場で供給するのは効率的でない。長い期間に利害関係者が。ゆとり教育を受けた世代がゆとり世代と。長期間に影響を及ぼす。選挙権を持っていなくて政策形成には関わっていないが影響は大きい。教育政策だけではなく他の政策でもそうだが、産まれていない世代にも影響を。その時の有権者の政策選好を反映させるだけでよいか。世代を超える考えも必要。個々人の教育を受ける権利と公的教育。限られた資源を確保し適切に配分する。世代を超えた影響をどうするか。教育政策には様々な難しい論点が。教育行政や学校経営では様々な関心が。次の3つに大別。誰が教育を統治するか。ある教育制度は誰がどのように決めるか。意思決定は誰が。政治学の根本的問いでもある。他の分野とあり方が異なる。他の組織とどこが違うか。法律は解釈次第で内容が違うので法律学的アプローチも。ある法律や制度を前提にして効果的に実現するか。How。どのように統治するか。学校経営の研究では実践に近づけばどのように運営するか、動機づけを如何に高めるか。教育の効果に対する関心。違いがどのような帰結を。規範的な問いも。教育効果。evidenceに基づく政策。教育政策がもたらす効果を。教育経済学など。3つの研究類型はあくまで一例。当為論や規範論。難しいところもあるが自らの研究がどこに位置づけられるかを、貢献できるかを。類型について考えてみることは重要。
この科目では現代日本の教育行政や学校経営について。歴史的経緯についてもあらましを把握することを。今後の講義ではまとめて説明する機会がないので、第二次世界大戦後から現代までの変遷について。戦後改革。再改革。教育の自由化や規制緩和。政治主導や競争原理の影響が強まった。4つの時期に分けて。
戦前の日本は中央集権的。内務省から出向した知事。内務省の行政の一部で独立性は弱かった。軍国主義への反省から民主化と地方分権に。学校教育法の制定。戦後の教育行政は地方分権や一般行政からの独立。民主化の三原則。48年に公選制教育委員会が。アメリカでは学区を単位としていて市町村とは別だったのに対し、行政委員会の1つとして教育委員会が。緊張関係。教職員組合が支持した候補が教育委員に。政府与党と反対。民主化の徹底化が課題に。望ましい経営の仕組み。民主的運営や意思決定の必要性。PTA。地域を核としての。占領政策は転換して教育行政にも影響。51年のサンフランシスコ講和条約。行政全般に改革の見直し。教育などの分野で集権化が進む。個別の政策領域の集権化が。機能的集権化。制度改革は逆コース改革であったとの批判が。憲法や地方自治の仕組みは維持。比較的安定。教育委員会法の廃止。教育委員は市町村長の任命に。国都道府県市町村の密接な関連や他の行政との調和。教育長任命制。集権化が進む。教員人事では教職員の人事権が都道府県に。教育委員会制度創立の理念の3つ。民衆統制を後退させる側面。教育委員会の制度自体は存続。その後58年には学習指導要領が改定。国の教育課程の基準として法的拘束力を。終身科を復活させるとの批判。国の関与の是非については教育権論争が。行政が管理する行政機関の役割が。管理職手当の支給など。60年代初めからは学校経営を問う研究が。効率性を向上させ合理化を。合理化論を批判し民主化を必要とする。学校のあり方を。能率性効率性。ピラミッドであるべき。対してフラットな構造を。その後60年代後半には学校経営の現代化論が。71年の中教審答申。四六答申。第3の教育改革を目指して幅広い改革を。多くは実現に至らなかったが方向性に影響を。学校経営。校内管理組織の確立。教科主任などの職制を確立すべきと。この後70年代なかばに教頭が法制化。80年代に入ると量的整備は充足して質が課題に。欧米の近代化に追いつくことを目指したシステムが揺らぐ。新たなシステムづくりを。自由化個性化を貴重とした教育改革。臨時教育審議会。教育改革の実施を。教育の自由化論に対し対立が。臨教審答申。個性重視の原則など。初任者研修制度などが提言。90年代以降の教育政策に影響。地方分権改革。90年代後半には学区の弾力化が。学校選択制が一部で。98年には中教審が答申で役割分担の見直しを。地方分権化や自主性の拡大。教育行政における自治体の裁量が拡大。少人数制教育も。学校経営では90年代に学校の自主性自律性の拡大がテーマに。学校の裁量拡大。学校家庭の連携の強化。管理規則の見直しなど。職員会議も補助機関として。00年代からは規制緩和や地方分権が進む。省庁再編で文部科学省が。内閣機能の強化。官邸の影響力の強化。経済財政諮問会議などの政治主導。他省庁が教育政策に影響を。06年からの安倍内閣。教育基本法の改定。学校教育法の改正などに影響。民主党政権ではねじれ国会で多くは実現に至らず。政治主導で教育委員会改革などの改革が。教育再生実行会議。様々な提言を打ち出し中教審は詳細な制度設定を。地方分権改革による自治体の裁量が拡大。首長の権限が強まり少人数制教育などの教育改革を。教育委員会の存在にも疑問を。制度の見直しに内閣は着手。大綱の作成や総合教育会議の設置。00年代以降の特徴。成果主義の重視。90年代までは予算編成や学習指導要領などの事前統制が強かったが、政策の評価は問われなかった。学力テストなどの成果主義。学校評価の普及。民間企業の手法を行政に取り入れる。NPMに近い。事前統制から評価を通した事後統制に。トップに権限を集中。教育振興基本計画には目標が。教員評価や学校評価が。
教育行政と学校経営の現代的課題。少子高齢化が及ぼす影響。教育の量と質の維持を行う予算が確保しづらくなっている。投資が難しく。借金返済が大きなウエイトに。介護年金の費用の増大。他の政策に余裕がなくなる。有権者が高齢者に偏り社会的合意の形成が難しく。先送りされる危険性。シルバー民主主義。世論の支持を受けづらい。先行きは明るくない。予算の確保。evidenceに基づいた政策が求められる。客観的なのは望ましいが教育は時間がかかり正確な測定は難しい。社会科学では社会的事情があり中立的とは限らない。それをそのまま鵜呑みにするのではなく意図を考えるなどの注意が必要。政治主導とNPMが進展。自律性専門性が低下して小さくなっている。教育の専門性が統制によりコントロール。教育の専門性を担う教師が独善性を。民意を反映すべき。教育における民意とは?一つの正解はない。誰が民意を代表するか?政治主導は短い期間で。NPMと馴染みやすい。

 

教育行政と学校経営〔新訂〕 (放送大学大学院教材)

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