ーーーー講義録始めーーーー
看護の原点は、女性が家族の病気に気づき、世話が必要であることを本能的に認めて世話をしたところから始まったとされています。それでは、目で観察し、手を使って他者を見守るという看護は誰にでも可能なものなのでしょうか。
1859年にフローレンス・ナイチンゲールが記した『看護覚え書き』には、看護が医学とは異なる独自の責任範囲を持つ実践であることが示されています。
ここで、専門職団体による看護の定義を見ていきます。専門職団体とは、専門的能力があると相互に認め合い、個人の資格では対応できない社会的機能を果たすために結成された専門職従事者の組織を指します。
印刷教材には、国際看護師協会(ICN)および日本看護協会による看護の定義が示されています。これらに共通する内容として、看護の対象はあらゆる年代の個人、家族、集団、コミュニティであり、また、あらゆる健康状態の人々にケアを行うことが挙げられます。
日本看護協会の定義では、保健師助産師看護師法に基づき、免許を交付された看護職が保健、医療、福祉の様々な場で行う実践であるとされています。
1948年に制定された保健師助産師看護師法の第5条では、次のように定義されています。
「この法律において看護師とは、厚生労働大臣の免許を受け、傷病者もしくはじょく婦(産褥期の女性)に対する療養上の世話、または診療の補助を業とする者を指す。」