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看護学のメタパラダイムと命題の概要(看護学概説第1回)#放送大学講義録

ーーーー講義録始めーーーー

 

次に、学問の観点から看護について見ていきます。看護が学問であることを示し、他の学問と区別するために「メタパラダイム」という概念があります。
メタパラダイムは、学問における最も広範な合意事項であり、その領域における一般的な媒介変数を規定して、科学者が研究すべき方向性を広く示します。

メタパラダイムの機能は、学問の知的および社会的使命を要約し、その学問の主題となる内容に境界線を設けることです。このようにして、メタパラダイムはその学問を他の学問と区別します。
トーマス・クーンは、メタパラダイムを「学問が関心を持つ現象を明らかにする極めて抽象的な概念」と、「現象間の関係を説明する一般的な命題」から成り立つものと述べています。

看護学におけるメタパラダイムは、以下の4つの抽象的な構成要素に分類されます。

  1. 人間:個人、家族、コミュニティ、その他の集団を含む看護の対象。
  2. 環境:人間にとって重要な他者や物理的環境、そして看護が行われる状況。
  3. 健康:人間の安寧を意味し、健康な状態から終末期の状態まで幅広い範囲を含む。
  4. 看護:看護師が人々に代わって、または人々とともに行う活動を指し、その目標や成果をも含む。

また、アセスメント、ラベリング(診断)、計画立案、介入、評価という系統的プロセスが、典型的な看護活動として挙げられます。

メタパラダイム概念間の関係と命題

メタパラダイムの4つの概念間の関係は、次の4つの命題によって説明されます。

  1. 人間と健康
    看護学は、人間の人生プロセス、最適な機能状態、病気、そしてより良い状態に影響を与える原理や法則に関心を持っています。

  2. 人間と環境
    看護学は、通常の生活や危機的な状況における環境との相互作用に注目し、人間の行動様式に関心を持っています。

  3. 健康と看護
    看護学は、健康状態に肯定的な変化をもたらす看護活動や、そのプロセスに関心を示します。

  4. 人間、環境、健康の結びつき
    看護学は、人間が環境と絶えず相互作用しながら全体性や健康を維持することに注目します。