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犯罪と罪刑法定主義(刑事法第2回)

抽象的な法理論も、具体例があると分かりやすくて良いと思う。というか、具体例なき法理論は作り上げるべきではない、とも言えるだろうけれど。

 

国家刑罰権。国家の権限の中でも非常に強力。国王や封建領主による刑罰。人権侵害を防ぐために三権分立。政府から独立した裁判所が、法律に拠らなければ刑罰を受けない。その法律も国会が作るもの。法律なくして犯罪なし、法律なくして刑罰なし。予め刑法に犯罪と刑罰が規定されている、それが分かるからこそ安心して日々をおくれる。手続も法律による必要がある。法律による実体と手続の規制。
実体法、何が犯罪かは刑法で、罪刑法定主義。人の行為でなければならない。行為主義。犯行の動機が内心に生じる、犯罪の準備をして機会を伺う、犯罪行為を実行する、というプロセス。道徳的な価値判断はともかく、内心を刑法では問題にしない。有害な行為に現れて初めて犯罪となる。準備行為は個別に法令で定めるけれど、下見段階では原則犯罪にはならない、実行行為をして初めて犯罪となる。犯罪成立の為には行為が必要。ネグレストした場合は罪に問われない?行為は不作為も含まれる。27年、過失致死罪。死なせたのは眠り込んでいたので作為は無いが、不注意とは言える、その点に過失を認める。不作為も行為とされる。
手続法、刑事手続のレールに乗らないと刑罰を科することが出来ない。調べてみないと分からない。犯罪の発覚が必要。犯人と証拠が。暗数が多数ある。実体法で犯罪があっても、訴訟法的に犯罪が認められない。書店での万引きなど。警察に告発しても取り上げて貰えなければ、犯罪とはならない。検察官が起訴をしなければ、犯人が分かっていても訴訟法的にはそこでストップとなる。起訴されただけでも、真犯人かどうかは分からない。無罪の推定原則。プロセスが重要。
罪刑法定主義。80年の旧刑法典の2条に明文あり。旧憲法の23条。現行の刑法典には罪刑法定主義の規定は無い。明治憲法にあったから?48年の現行憲法にはこうある、31条、法律の手続になければ、と書かれている、手続、の中に根拠法令も含まれると解される。73条6号、法律の委任がなければ刑罰法規を置くことが出来ない。条例。地方自治の精神からも、31条に反しないとされる。
罪刑法定主義の中身。法律主義、類推解釈の禁止、遡及処罰の禁止、絶対的不定期刑の禁止。法律主義。慣習刑法の禁止。道徳的に非難されるものでも。不貞の罪、憲法14条に反するとして削除。不貞は離婚事由になるし、不法行為にもなる、しかし刑事罰については不問。社会の慣習や道徳は変わりうる、特に性犯罪の場合は。類似の法令があっても。類推解釈の禁止。条文の言葉の意味を越えて解釈するのは禁止。情報を盗むのは?窃盗罪にはならない。火炎瓶闘争。爆発物使用罪に問える?52年の神戸米軍キャンプ襲撃事件。最高裁。爆発物とは?解釈をした上で、火炎瓶は爆発物に当たらない、とした。爆発物の概念を広げない判断。特別の立法が必要。72年。火炎瓶処罰法。遡及処罰の禁止。罪刑法定主義に照らして許されない。行為をしたその人について、犯罪と刑罰は法定されていない。応報的にも刑罰は問題。憲法39条。絶対的不定期刑の禁止。罪刑法定主義は刑罰の決定にも及ぶ。不確定刑の禁止。デュープロセス。明確性の原則。実体的デュープロセス。罪刑の不均衡の禁止。最高裁も理論として受け入れる。曖昧な刑罰法規は違憲となりうる。法令が明確でないから違憲、とする最高裁の裁判例は無い。蛇行行進は?85年。3人が違憲の反対意見を書く。淫行という概念で処罰は広汎で不明確ではないか?最高裁、淫行については限定的に解釈することで合憲とする。一般人にそのような読み取りが出来るか?刑罰法規の内容の適正。一般論としては最高裁も認める。

 

刑事法 (放送大学教材)

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