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共犯 -犯罪の共同実現(刑事法第6回)

刑法総論を法学部生が学ぶ時は手続については触れられないのが大抵の大学だと思うけど、刑事訴訟法の前提があって刑法の適用があるのだから、一体的に説明がされるべきだと思う。

 

白取祐司。共犯。犯罪の共同実現。2人以上で犯罪を実行した場合。殆どは単独犯が想定。これに対し2人以上を共犯。犯罪の中には初めから共同で行った場合のみ。騒乱罪。一人で騒いでも刑法の騒乱罪にはならない。160条は多人数で集まっている場合。必ず複数で、共犯でなければならないのを必要的共犯と。今日は単独犯でも出来る犯罪を共同で。
刑法の規定。共犯に関する。刑法の共犯には3つ。共同正犯。2人以上共同して。強盗を例に。脅す人間と財布を奪う人間。2人とも強盗の。一部実行全部責任の原則。正犯者として。強盗全体に。共同正犯には意思の連絡が必要。一方的に手助けした場合も認める?実行行為の一部しかしてないのに全体の責任をするのはどうか?共同で犯罪を実行。最終的に全ての責任を負うので実行行為の一部は行ったことを。裁判例では共謀があれば良いとする。教唆犯。自ら実行しなくても人をそそのかしたり騙したりして犯罪を実行させる場合。犯罪の意図を持たない人に犯意を生じさせ実行させるので正犯と変わらない。間接教唆も。条文に教唆して犯罪を実行させたと。非教唆者の実行行為が必要。そそのかしておいて処罰させるのはおかしい?正犯が居ないのに処罰の必要はない。共犯の従属性。従犯。幇助犯。正犯を幇助。実行行為を容易に、実行行為自体ではないので刑は軽い。幇助犯の場合は何が幇助になるかは曖昧。強盗犯人に事前に凶器を。殺害行為の前に現場を立ち去った場合は。87年10月20日大阪高裁。作為による殺人と等価値とは言えないと従犯に。刑法の定める共犯。単独犯にはない共犯の特殊性。共同正犯と教唆犯従犯を区別。3種類の中で単独正犯に近い。学説上も狭義の共犯と。実行行為を行わないのに処罰。実行行為をしないのに何故に狭義の共犯の処罰は?責任共犯説。違法共犯説。因果的共犯説。責任共犯説。共犯の処罰根拠を。正犯犯を。違法なのは正犯の犯罪を作ったから。単なる処罰条件。違法共犯説。違法な行為を行わせた点に根拠を。犯罪に貶めしたことを根拠に。教唆犯にはともかく従犯の説明にならない?因果的共犯説。正犯を通じて違法な法益侵害を。正犯の違法性と共犯の違法性に違いはない。因果関係の存在が必要。因果的共犯説が正犯の処罰根拠と整合的に。法益侵害の惹起という違法性論に適合。共犯行為と正犯行為の間に因果関係が。教唆犯。教唆行為により心理的因果関係が必要。新たに犯意が起こっても成立しない。従犯。心理的因果関係と物理的因果関係。窃盗犯人に合鍵を渡す。凶器の拳銃を渡すなど。犯罪者をやめさせる義務があるにも尽くさなかった場合に従犯が成立する場合が多い。少なくとも精神的励ましなどは必要。教唆犯。心理的因果関係。仮に無い時はそもそも教唆犯が成立しない。気が付かないのならあとになって思い立っても教唆犯にはならない。教唆という共犯形態は被害者や犯行対象を特定して。別の場合は因果関係の否定も。判例。男が地形図を示しながら強盗に入るよう教唆。帰りかけると強盗仲間が別の電気商会に。窃盗を行う。教唆した者の責任は?最初の教唆と因果関係があるか?最高裁昭和50年7月11日。見張りは教唆に基づくと言うより犯意は放棄したが仲間に動かされたものだから因果関係には疑問と。具体的犯罪のそそのかし。放棄したら責任はない。間接正犯との限界。医師が看護師に命じて毒入りの注射を打つ。教唆犯と構造は似ているので区別が。毒入りの場合は道具であることがはっきしていて正犯とする説も。親が刑事未成年の娘を脅して窃盗をさせた。14歳未満の子ども。教唆犯になるか?間接正犯に?事件毎に事情が異なる結論も異なる。13回させた親。83年9月の最高裁の決定。日頃の言動に畏怖していたことを理由に間接正犯が。01年10月25日の最高裁決定。12歳の息子に強盗の実行をさせた母親。共同正犯を息子に認める。共同正犯は母親にだけ。理論的にスッキリしないので教唆犯とする見解も。刑法典に定められた共犯。
大審院以来条文にない共謀共同正犯。2人以上の者が共謀した場合は実行行為をしなくても共犯に。全く別物。何故?事件の背後で仕切っている黒幕を正犯者として処罰。教唆犯も同じでは?軽微な犯罪については教唆は罰しないと。64条。教唆犯の方が軽い共犯形式。思い非難に値する者には正犯で処罰する必要はあると判例実務の感覚。正当性をどのように?戦前。一心同体で互いに助け合い実行するから自己の犯意を実現したものだから共謀共同正犯。一心同体と自己の犯意。一心同体についても騒乱罪のように刑法が規定されているわけでもないのに団体責任に?黒幕が他人に犯罪をさせると言うより寄与をした場合に。現在まで受け継がれている。人に犯罪をさせた者の主観を強調しすぎ?戦後の最高裁にも。練馬事件。51年の2つの労働組合の対立を背景とした。暴行を謀議して乱打して死なせる。共謀共同正犯として。現場にいなくて行為していない。58年5月28日。共謀共同正犯の定義。2人以上が共同意思のもとに一体となって謀議をなして犯罪の実行行為を。関与しないものでも他人の行為を自己の手段として。差異を生じさせるべきではない。単なる謀議ではなく道具として。強い人的結合があれば。共謀共同正犯を肯定する論理。謀議のみに関与した者も利用して実行した。間接正犯の理論に類似。刑法60条は2人以上共同して犯罪を実行。謀議だけの者を含めてよいか?評価出来るだけの実質的な要件を。批判に応えたと言える?スワット事件。広域暴力団の幹部がチームの拳銃を不法所持していたとして。事実認定に問題。未必の故意の存在も争いに。認定された事実を元に。裁判所の認定。いずれも拳銃を所持しておりボディーガードなどの経験から概括的で確定的に。立場上持たないよう指示することも出来たが。最高裁03年5月1日決定。被告人とスワットの間に所持につき黙字的に。指揮命令する権限を持つ立場を考えれば実質的には所持させていたと評価されると。共同謀議がなくても。黙字でも良いとしたら拡大解釈される?事案は行動を共にしていた特殊性が。暴力団の性格を重く見て。最近の学説は結果への因果性を重視するので行為がなくても抵抗はない?共謀共同正犯は教唆犯との境界線を越えて拡張。従犯との境界。大麻密輸の実行犯になってほしいと言われ断るが。他の人を紹介して資金を提供する。税関で発覚して共謀共同正犯で起訴。正犯ではなく幇助に過ぎないと。最高裁は83年7月16日の決定で全員に共謀共同正犯を。行為を通じて謀議をしたことを。それ以上の理由付けはない。結果への因果的寄与の問題として考える。学説の例。実行行為はしないから幇助にとどまる?従犯になるとは言えない?共謀共同正犯とするのが実態に合っている。自分は一歩退いているが密輸入行為について因果的寄与をしていると。刑事責任を問える事案。練馬事件では共謀共同正犯を大法廷で。他の判断も。自白に補強証拠が必要か。共犯者の裁判で。自白している共犯者が名指しすることが。八海事件。4人は真犯人が苦し紛れに上げていて逮捕される。自白が唯一の証拠である場合。補強法則。共犯者の自白だけで処罰はされないとすればリスクは減少する。練馬事件でも被告人側が主張。最高裁はけだし、単なる共同被告人であっても被告人以外であり純然たる。58年5月28日。自由心証主義が強調。裁判例として練馬事件が先例となり維持されている。共謀共同正犯は実態法的にも理論的にもすっきりしないが、手続き上でも立証や防御に困難な課題。主観的要素なので証拠上の取り扱いにも留意が必要。

 

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