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スウィフト『ガリヴァー旅行記』(ヨーロッパ文学の読み方近代篇第3回)

動物との接触は、もともと人間にとり自然なものなのかもしれない。ロゴスはそもそも生きるのには必要ないのではとも思うし。

ガリヴァー旅行記。アイルランド出身の書いたユリシーズ。04年6月16日のダブリンの産婦人科。英語の文体の歴史的変遷を。英語の文体の驚くべきパレード。古代や中世の曖昧無垢なものから明晰な英語へとの変遷。進化と洗練の果のダブリンの英語は?隠語や方言などのオンパレード。人間の言語の進歩の無さ。カオスからカオスへ。青空が開けるのは?18世紀の英語。科学と理性の英語。スウィフトの「ガリヴァー旅行記」。簡潔平明なのは当然としても、時代の背景も要請した。無味乾燥な実務的英語で。理性の英語で非理性を白日の下に。小人国と巨人国。天空の城ラピュタ。第3部や第4部は殆ど読まれていない。後半だけはぜひ読んで欲しいと訳者。第1部。1695年から。日付が明確。第2部。1702年から。子供向けのおとぎ話?そぐわない部分も多い。棄却するしかないアイデアを。小人国における排泄行為。一挙に排泄して小人国の民を驚かせる。宮廷の一部が火事になった時、自分の小便で火を消す。無礼とみなして追放を企む人間も。排泄を堂々と描くのは世界文学でも殆ど無い。巨人国。巨大な住民の排泄行為が問題になる。大きなものは醜く見える。巨人国の住民は醜悪に。汚物タンクとしての人間の身体の持つリアルな姿。化学的言説に特有の客観的観察。暗部や恥部を照らし出す。文学は上品な文字とイギリスではされたけれど、それと対極の科学的言語。理性こそが身体のみならず人間の醜悪さに。
理性を信じるのなら理性の可能性を称賛するだけでなく、限界も見据えなければ。第3部。するどい風刺の対象となるのは理性の働きそのもの。とりわけ学術研究。空飛ぶ島。ラピュタ。空中浮遊。常に化学的問題を考察して上の空状態。科学者たる者、奇想天外な実験に明け暮れ空理空論に。常に空中を漂う。浮遊性や観念性。現実逃避的な思考。人生300年になればどれほど素晴らしいか。不老不死の憧れ。精神的劣化を考慮していない。王国の不老長寿の民。厄介者扱い。法的には死人とされる。ゾンビのような存在。空想的なものに堕落。地に足を付ければ?そうでもない。言語改革論者。言葉とは物の名称である。コミュニケーションの円滑を図るために。話題が多くなったり複雑になったりすると停止する事物も増えて効率的でなくなる。具体的なものの暴走ではない。これ性。個別的なものを重視。具体的なものの重視では解決にならない。抽象的なものと具体的なものとのバランス。保守主義は極端を嫌う中庸を。知性の暴走を抑えるために、身体に基づくものを重視。第3部のタイトル。日本への渡航記。将軍に会いオランダ船により帰路に。
第4部。1710年から1715年まで。理性を持つ馬が統治する秩序だった国。ヤフーと呼ばれる獣たちが社会秩序を。実は人間。人間と動物との関係が逆転。動物が人間を支配する。それで混乱が生じない。文明は馬が支える。ヤフーが支配するようになると暗黒時代に。馬はヤフーと同様獣ではないのか。野蛮の影。ヤフーは退化した動物。文明の影。人間と馬、相容れない二者が交代可能に。両者の渾然一体化。最初から動物的要素が顕著。小さな国民たちは小動物らしい愛らしさ。巨人国では攻撃に晒される。動物の眼から人間を見る。第3部を経て第4部。動物は人間とは何かを定義する時に引き立て役として利用されている。人間の中にあるホモサピエンスと人間を比較。人類学的機械。風刺機械が風刺される側と風刺する側を区別しない。風刺機能時代が破綻しかかっている。小人国の住民達にとって人間は醜悪化。呵責なき相対化。人間の引き立て役の動物が理性的動物として人間化される。人間の方は獣に。人間の引き立て役にはなってくれない。人間の定義は混乱するばかり。英国の貴族は小人国や巨人国でさんざん風刺されている。英国の貴族は野蛮人に近い。19世紀になってスポーツのことしか頭に無い。ヤフーこそ貴族。馬というのは特権的な用例。馬と騎乗する人間を、理性と感情の関係に例える。人間、理性が手綱を持ちコントロールすれば良い。馬の方が人間に乗っかると、感情が理性を支配。欲望や感情が自らの不正な在り方を正当化する為に理性を利用する。理性を隠れ蓑にして見えづらくなる。ニーチェ。理性を利用。理性的なものは客観的ではない。ガリヴァー旅行記では更に捻りが。馬が支配しても上手くいく。非理性による理性の抑圧にはならず、人間以上に理性的になる。理性は動物が使用したほうが良い。ユートピア物語を想起させる。理想国家だが、馬という非理性がいずれ支配するのではないかという恐怖の逆転。劣等種族のヤフーの絶滅が話し合われる。ホロコーストを暗示している。本気なのか風刺なのか決めがたい。小冊子。穏健なる提案。食糧問題を解決する為にアイルランドでどんどん産まれる貧民の子どもたちの肉を食べてはどうか。イギリスで賛成する人間も居た。文明人も一皮むけばヤフーと同じ。ヤフーになるのが最悪の状態。
馬が人間よりも理性的。ガリバーと対等に。神話や民話。動物は常に人間と対話してきた。一種の規則。ホメロスの叙事詩。バリウス。ギリシア神話のケンタウロス。中世になると一角獣。11世紀のスペインのロシナンテ。数多くの馬が様々な形で人間との交流を深める。人間以上に理性的な馬の物語。客人であるガリヴァーと馬との会話。友愛の言語が。動物文学作品の1つ。会話だけではなく、巨人国の環境に馴染んでしまい人間を小さく見てしまう。ガリヴァーにとり周囲の人間はヤフーに見える。2頭の種馬の子。帰国後に再開した妻子に馴染めない。厩だけで落ち着ける。イングランドの地でアダムとイブを。地球はいずれ馬の惑星に。動物との同一化。奇跡的な瞬間。「アントンライザー」。少年は牛小屋で子牛を抱きしめる。永遠の一瞬。牛と人間の一体化。人間の残虐さから動物を抱きしめる。「罪と罰」。少年が馬に駆け寄る。ニーチェ。動物との交流。馬小屋に佇むガリヴァー。それ以降の近現代の文学の門口に。人間への絶望が動物との交流を。暗黒面と、双方の解放されるユートピア。馬と一体化する人間の新たな交流の可能性。

 

ヨーロッパ文学の読み方―近代篇 (放送大学教材)

ヨーロッパ文学の読み方―近代篇 (放送大学教材)