「エントロピー」という言葉を聞いたことがある人は多いと思う。元々は19世紀に熱力学で形成された概念である。物事の状態はエントロピーが低い状態から高い状態に進むというのがエントロピー増大の法則とされる。熱力学では厳密な定義がされている。まあ当然である。でないと科学理論にならない。ところが高校の理科の知識が覚束ない人間には訳が分からない。なのでエントロピー増大の法則を、秩序の状態から無秩序の状態に進むこと、という文系的な比喩でもって説明されることが多い。困ったことに高校の物理の参考書にもそう書かれている。あくまで1つの側面しか切り取った表現に過ぎないのだけど。そしてその説明しか知らない人間は、それを前提にして訳が分からないなどと宣う。「無秩序」を地で行く惨状である。大学の教養課程くらいの自然科学の知識は持って然るべきではないかと思うけど。