私が高校生の頃は、唯物論=マルクス主義とされていた。精神の根底に物質があるというのが唯物論の定義だから、明らかにイコールには成り得ない。しかし、俗に言う「右」の思想が国粋主義と見做す「左」の方々は、国粋主義の反対である唯物論の方が成立すると論じていた。それでマルクス主義は経済が社会を規定すると考える。確かにそういう側面があるだろうが、例外もあるのではないかと思うようになった。「左」の人々は基本的人権を擁護するべきだと論じるが、そもそも人権自体が精神的所産である。その意味で観念も時代を動かすことがある。西洋に端を発した人権思想は全世界を覆うようになったのだから。