F-nameのブログ

はてなダイアリーから移行し、更に独自ドメイン化しました。

楽観主義。

「悲観主義は気分によるものであり、楽観主義は意志によるものである」とはアランの「幸福論」に出てくる断章である。これをもって、自分の心持ちで世の中の明るい面を見て人生を乗り切ろう、という見解が頻繁に見られるところである。まあ一般論としては妥当だろう、それは認める。しかし無闇に楽観主義に傾斜するとロクでもない目にあう。猪瀬直樹氏の「昭和16年夏の敗戦」(中公文庫)で、日米戦争になると日本は敗北するというシミュレーションの結果が出たにもかかわらず、指導層の「意志」で真珠湾攻撃に踏み切るという経緯が明らかにされた。そして楽観主義は昭和20面まで日本を覆い、多数の人命や財産は失われた。「意志」と言っても碌でもない種類も混じるので注意が必要。