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明治 世紀末の東京(政治学へのいざない第2回)

東京の話になるのは致し方ないが、大阪や京都の地方政治も論じる価値はあると思う。一応は1200年の都であるし、大大阪といわれた時代もあったのだから。

 

御厨貴。明治、世紀末の東京。世紀末。20世紀末ではなく19世紀末。3人の異能の持ち主。政治家、知識人、文士。3人が19世紀末に東京のハードソフトインフラの問題について出会い枠組みを与える。出会いの面白さ。星亨、田口卯吉、幸田露伴。特徴はあるか?東京人。田口卯吉と幸田露伴は生粋の江戸っ子。3人が東京人の特色を持つ。藩閥政府に冷ややかで挑戦的。世紀末に至る明治国家。近代国家。議会を設立し日清戦争を。立憲国家。日本は如何にあるべきか。強迫観念的に日本はどうあるべきか、どうすれば外に膨張できるか。東京へ。近代化へのキャッチアップを前提にしていたが、膨張ではなく内側に向かい。方向は内側なのが特色。ハード面やソフト面で如何に東京を変えるか。東京は如何にあるべきか。一番最初に議論したのは田口卯吉。幕臣の子として産まれ江戸っ子気質を失わず百科全書的な多彩な活動を。政治家も。20世紀初頭にかけて「東京経済雑誌」を。東京の府会議員や市会議員などの政治活動。80年代に田口卯吉は東京の地方税改良など具体的な政策提言を発表。90年代に帝国議院が開かれると関心は国政に。様々な対立と葛藤が続きもうひとりが東京に目を向ける。80年代から自由党の指導者だった星亨。地租増徴案を成立させる。日清戦争をはさみ増税に走るが大騒ぎに。星亨は山県有朋と結ぶ。地方利益の推進と実業家の支持の獲得を。首都東京の市政の掌握を狙う。星亨を仕掛け人として田口卯吉を巻き込み。幸田露伴が「一国の首都」という論説を。世紀末の東京は何かが変わろうとしていた。この期を逃しては変われないかもしれない。東京を変えるという議論。明治32年に蠢く東京を。幸田露伴は世界の東京たらしむべしと。東京は何故今変わるべきときなのか。明治も32年。既に東京の建設者としての薩長土肥の明治維新を推進した人たちが京都の人も含めて東京にやってきて30年も経ったから東京土着と変わらなくなった。だからこそ東京は如何にあるべきかを議論する時は来たと。自覚が必要。新参の者も江戸時代の古参の人も同じ立場に立ち。世紀末の東京を読み切った。住居や道路や公園などのインフラについて語る。露伴の記事を読むと色んなことが。文学者としてあたかも東京のインフラや経営について、政治学者が語るようなことを何故語ったのか。後世の文藝評論者も問題に。卓越した政治の識見を。論考の中で露伴はきっちりとは論じていない。気負いもあって東京論を展開したいというが、途中から花街の変遷や江戸の風俗の退廃を。前半の意義込と後半の流れが一致しない。前田愛は空想的な。明治文学の中での気分な文章。卓越した実務家の面目から気分屋に。政治論や行政論が徹底的に欠けていた、当初から露伴は政治論行政論を必要不可欠と認識していた。一国の首都の秩序の。首都の必要条件として市中に包含する政治行政機関をどこにおくか。これを議論しないと。問題点の指摘は鋭い。東京の府会や市会が何をなすべきか。議員の資格や選挙人。市政の様々な機関について議論が必要と。しかし拳をやすやすと下ろす。今しばらくおいて論ぜ去るべしと。なぜこんな結論に?政治を論じなくて良いと思っているわけではない。どのような形に収まるかが彼にも分からなかった。前の年98年に国政レベルでは星亨が努力した地租増徴案が可決した。少し前には市制の改正で市会から選出。揺れ動きが。市制への注目。都市の利益に意味が。星亨の登場。連携関係を決定的にする。藩閥政府との大胆な提携と妥協で政党というものの支配の体制を目指す意図を持つ。同時進行的に。幸田露伴を横目に星亨は半数改選に多数派工作をして東京市の交通機関などの促成を掲げて当選。主導する軍師懇話会の結成に成功する。東京市政の変貌が始まる。幸田露伴はこの状況を眺めていて一国の首都に書くことを断念、踏み込めず。星亨。世紀末の東京市政をどのようにリード?東京の色々なポストに就く。要職を次々に歴任して暗殺されるまで活躍。世紀末の東京は市街鉄道など都市生活を行うのに必要なものが沢山懸案としてあった。東京市が現業部門を持ち直営をするか許認可事業とするかどちらか。推進していくのに星亨が掌握すると財界を指示に回らせるモチベーションを。自由民権運動。明治10年代以降に壮士の力を必要とする。討論会の開催や大声を上げたりする厄介者。議員を目指す人も出てくるがならない人間が議会の周りで邪魔者扱いに。秩序を乱すものは要らないと。働き先を探さなければならない。任用制度の進んでいない役所や公共事業に。この状況下で焦点化したのは市街鉄道の敷設問題。対立点は?東京市の市営論、民間に任すべきと。市の参事会においては1名の僅差で民営論に軍配が上がる。星と田口は同じ方向に。しかし他の対立点が。市への奉納金の額をめぐり、田口卯吉は折半論に。星亨は事実上ゼロで良い。星亨が押し切る。東京市政を掌握する。極めて短い間だが双方の場で八面六臂の活躍。00年は山県有朋との連携を打ち切り政友会を設立。逓信大臣として入閣して政友会を牛耳る。市政においては国庫補助養成を議会で可決させるのに成功する。教育会を結成。公立学校を整備。政治活動は市政におけるスキャンダルで。毎日新聞が文士懇話会の許認可権の収賄を暴露して多くのジャーナリストが追随。星亨は逓信大臣の辞職を余儀なくされる。田口卯吉は?一時は星亨と組んでいたが対立していた。島田によるスキャンダル攻撃を利用して星亨に対し対抗的に。星亨にとっては市政は国政掌握の手段としての色彩が強かったが、重要な課題になる。国家利益とは異なる利益を発見し市政を理解しつつあった。東京議会の議長に就任する。文士の一冊の論考が現れる。東京市政を扱う1人の政治家が。汚職に塗れてしまうが。世紀末の東京の原風景。市政と国政が緊張関係を持って20世紀に。星亨は01年6月に暗殺される。恣意的な市政に反発し汚職への怒りが。個人的な財産を溜め込むことはしていなかったことが後で分かる。テロによる死は市政が国政から独立する機会を奪う。政党政治のダーティな部分として東京市政は位置づけられる。裏方としての東京市政。汚職に関する部分まで呑み込む。東京市政を何とか独立させて運営していく課題は。20年の後藤新平が市長として登場するまではうまい展開にならなかった。東京市政に星亨が埋没している状態の時に政党政治を目指したのは原敬。暗殺当時に会っていたが。21年にテロで暗殺される。初の政党出身の首相となった原敬も。政治的腐敗は東京市政に発して全国レベルに。星亨や原敬の、政党政治とテロとの関係。30年には濱口首相が狙撃を受ける。32年には五一五事件が。36年の二・二六事件。高橋是清大蔵大臣などが暗殺。首都東京を舞台にテロの横行が政治の腐敗を温床にして進んでいく。極めて残念な。東京市の汚職事件や政党政治やテロが三題噺として。首都東京はそれで朽ちたりはしなかった。様々な汚職があり指導者へのテロリズムが起こり、市政刷新運動が起こる。きちんとして許認可などをやっていくことが言われる。鳩山一郎など。彼らは戦後にあって党人派の政治家として戦前の政治生命を復活させ政党政治を担う。保守合同の最初の自民党の総裁。大野伴睦。副総裁に。活躍の場所は戦前は東京の市会。戦前は東京の市会議員と国会議員を兼ねることが出来た。市政の利益を生む活動に首を突っ込みながら国政の政党政治にも関わることが出来た。兼務できたのは一面で東京市会のスキャンダルが。東京市会に国政の視点と東京の視点を複合的に養うことが出来るのは大きかった。戦中に東京都庁が生み出される。東京市役所と東京府庁が合併してからも腐れ縁は戦後にも残る。戦後のいわゆる東京都政というのは市役所時代からの慣習や人事的繋がりが。悪いことも引き継いだが。断ち切ることが必要。戦後すぐには出来なかった。昭和30年代に入ると断ち切ることに成功する。最初のオリンピック。60年代は最初のオリンピックが来る。64年目指して東京都政はハードソフト面を。ペアで展開する中で様々な慣習などを切っていく。戦後の近代化を。鈴木副知事により。都政スキャンダルが無いとは言わないが一色には染まらなかった。東京市政のあり方を19世紀末から。鈴木俊一。都政を専門領域として考える首長が産まれてきたのは東京の今日を支える。国政を論じるのも大事だが都政の動きもしっかりと見る必要がある。

 

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