F-nameのブログ

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「契約」が出て来なかった昭和時代の学校教育。

今日の午後に睡眠不足で横になりながら放送大学の講義を聞いていたら、現在の中学校の社会科の公民分野では、「契約」というものを学ぶということを知って愕然とした。いや中学生には早すぎるとか言う話ではない。売買契約なんていうものをやらない人間なんて居ないのだから、契約という概念を学ぶのは当然である。愕然となったのは、私の受けた学校教育に「契約」というものが無かったという事実である(まあ昭和の話だからなあ)。中学校の公民分野の授業でも高校の政治経済の授業でも「契約」という単語を聞いた記憶はない(消費者契約法が出来たのは2000年のことである)。社会人になるための教育として相当抜かりがあったと今になれば言えることであろう。それどころか、私の進学した法学部の教育でも、法律学の最も重要な概念と言えるであろう「契約」というものについても、最優先で教えられた記憶がない(そもそも大学なのだから自分で学ぶべきであると言われればその通りであるが)。大学2回生になり民法総則から民法学を学ぼうとしたら、禁治産者制度やら法律行為制度やらが邪魔をする。3回生になり債権法の講義に出席すれば「請求権」の概念につき延々と論じられる。ついぞ契約という概念の理解には達することが無いまま私は大学を去った(まあ理解できなくても卒業する人間は多数居たと思われる)。恐らく今は契約の概念については最初の段階で教えられている筈であるが。まあのどかな時代ではあったと今にしてみれば思う。

ちなみに後日になりレックという司法試験予備校の民法のテキストを見れば、最初に契約の概念が説明されていた。大学の中には軽蔑する者が多かった(新入生には予備校に行かないことを推奨する教授も居た)が、少なくとも入門段階では予備校経由で習得した方が手っ取り早かったと言えるだろう。