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鳥取県知事として -現場主義と公正で透明な行政(公共政策第4回)

知事はある意味で万能の役割を持つので、決断するのが大変なように感じられる。

 

片山善博。鳥取県知事として。現場主義と公正で透明な行政。知事の頃の体験を中心に。自治体は膨大な量の事務を。自治体というのは住民と直接向き合うので当事者を。現場主義。地方自治は自分たちの地域のことは自分たちで責任を持って決める。決め方が。公正であることが要請される。フェアな決め方。お役所の情報は住民でも共有を。役所の透明化、情報公開の徹底。知事を8年間。こういうことを重要視して県政で実践。具体例を織り交ぜながら。
現場主義。総合行政主体。住民に直接接するのでできるだけ縦割りにならないように。中央の省庁は縦割りに。それに対して地域全体を見て仕事をすることが要請される。現実には縦割り意識がどうしても。組織を見てもわかる。知事になったときに驚いたのは県内の道路地図を見ると県庁の土木部が作っていたが、その道路地図には県道の地図はあるが農道が掲載されていなかった。農道と言っても車も人も通れるので変わりはないが、地図に載せたり載せなかったり。縦割りの弊害。縦割り型の組織は土木部の道路部などで所管。それを一元化。土木部の道路課に。中央省庁の中央の縦割りに対応していたが現場に照準を当てる。下水道行政。都市部の下水道は下水道課。農村部の下水道は農村集落事業。一軒や数軒。合併処理浄化槽。互いに連携も取れていなかった、この際に一括化。生活環境部に。国の縦割り。建設省や農林水産省。厚生省。県独自に一元化。公営住宅。県営住宅。土木部。公共施設を作る方、管理もするが。公営住宅に入る人は収入が少ない人や住宅に困窮。福祉の部署の方がスムーズに。当時の国の行政では建設省になるので、県庁でも土木部が。色々中央官庁の反対もあったが、福祉の部署に。現場主義の一例。現場向きでない組織を変える。災害に際しての復旧復興の時点。00年10月に鳥取県西部地震が。マグニチュード7.3。00年当時では阪神淡路大震災に匹敵する規模の。被災地では多くの家屋が倒壊したり。震源地に近いところでは過疎化が進行していて多くの高齢者の世帯が。家を失うことに。知事として県庁の多くの幹部も被災地に。災害の復旧復興で大事なことは、家を失った人が地域で住まいを回復すること。避難所を回ると最初の数日は元気だったが、現実に直面して悲嘆に暮れる。これからどうするか。資力も気力もない。都会の子供を頼って土地を出ていこうかと相談が。役所の方はこれまで通り居住することを前提にして改修などをする。矛盾に突き当たる。大事なのは住宅の再建を。再建支援はほぼ一切なかった。国にも自治体にも。独自に住宅再建支援制度を。国からの反対。前例がない。税金を個人の資産に投入する。Publicに使うのに税金を徴収している。個人の資産形成に使うのは駄目と。現場を見ると理屈では復興が成り立たない。住宅再建支援制度を実施。それにより被災地を去る人は殆ど居なかった。そのときに災害には県も比較的財政に余裕があったから支援が出来た。10年後などに財政が悪化していると対応できない。基金を作る。県と市町村が毎年1億円ずつ積んでいく。全国的な制度がなかったので県独自で。その後は全国的に似た制度が出来る。国の制度には隙間があったり適応除外になったりする。16年の10月に鳥取県中部地震が。独自の基金を発動する。国の制度の間だったが。現場重視の大切さ。国の制度に従うことで万事がうまくいくわけではない。現場で何をすべきか。国の制度に反しても。
公正な行政。地方自治として自分たちで決める。不公正では信頼が失われる。多くの人が納得するフェアなルールで。実際の自治体は公正にするよう努めているが、公正さを誤ることもないわけではない。口利き行政。自治体で今はさほどないと思うが、公共事業の入札において自治体の議会の議員が執行部に特定の業者を優遇してほしい、便宜や配慮をして欲しいということがあった。支援してくれる業者の仕事を応援したい。他の業者より優遇を受けることになると公正さを欠ける。他の業者にしてみれば不満が。議員の個人的感情は理解できないわけではないが自治体行政においては差別化や優遇化は避けなければ。口利きというのは就任当時にはあった。口利き行政の歪みを止めようと。口利きというものを文書化する。止めさせるというやり方もあるが、色々な種類がある。悪い口利き。何らかの政治的横槍が入る。公正な行政を妨害する。例えば同じ口利きでも良いものもないわけではない。自分の住む地域で通学路が未整備で子どもたちが危ない目を。ガードレールがないなど。痛ましい交通事故が。そこに着眼して通学路をちゃんと整えてくれるように議員が口利きを。正当な活動の一環。役所として歓迎すべき。口利きを一切禁じると自治体行政が弱体化して活力を失う。議会が行政に伝える役割があるので排除するのは賢明ではない。口利きを受けた職員が文書化するという仕組みを。議員の側から役所の職員。幹部職員や担当者に持ち込まれる。その段階で文書化する。紙に書いたり電子メールに書いて上司や同僚とともに共有をする。一人だけで聞いて胸の内に収めるのではなく共有がなされる。解決も早くなる。悪い口利き自体が共有の認識が。文書化をすると情報として自治体に残る。後日情報公開の請求があると対象になるのでどの議員が口利きの内容がわかる。名誉なことだったり世間から批判を受けたり。議員の側から悪い口利きが抑制され良い口利きでは評価が高まる。口利きの文書化。とても強い反対が議会から。多くの議員から批判や要請が。激烈なバトルが。率直に反対する議員に理由を聞く。明確な答えはなかった。一つ一つ聞いていく。文書化することがいけないなら案件は暗記していないと行けないが組織として良くないこと。記憶が間違えることがある。多くの人が見えるようにするのは何故いけないか。反論がなかった。情報公開するのが良くない。何故いけないか。自分たちの口利きや要請をやりにくくすると。まさしく悪い口利きであればやりにくくなる。しかし良い口利きは積極的にすることになるのでは?しょうがないなあと。文書化を実行。始めてから数年で。どんな口利きが持ち込まれたかを見てみると。質の良い口利きが多かった。通学路の改修などが増えていた。できるだけ市町村と協力をしながら。ともあれ自治体行政では公正がとても大事。知事室に一服の書が。公正は自治の元。鳥取県出身の奥田義人。明治から大正にかけての政治家。東京市の市長も務めた。知事室で見て本当にそうだなと。地域のことを判断と責任で。不公正なことをやっていると他の人は納得するはずもない。円滑に健全に運営するのは公正さが大事。知事時代に毎日眺めていて県政にそれを反映させる努力を。
透明性と情報公開。一般に日本の役所は情報公開というのはあまり積極的ではなかった。学生の頃の行政学のゼミ。自治体の文書公開について調べる。情報公開という用語は使われていなくて。文書公開と。文書が中心だったので、文書を見せるかどうかに尽きると。透明性を測る尺度に。関東地方の東京都などを拝見する機会を。印象としては役所というのはどうして隠したがるのか。文書公開の実務について教えてもらえませんかと伺おうとしたが、対応が警戒的。何を探ろうとしているかと。探ろうとする気持ちはなく行政学のゼミの一環でだが、文書公開を探ること自体が問題視。もっと透明性を。知事になったので鳥取県を全国でもトップレベルの透明性の高い自治体に。予算の編成過程。予算編成はともすると最初から最後まで密室の作業として。予算要求。それを財政課などで査定。調査をして決定。要求項目について優先度が高いかどうかなどcheckを。査定が終わると第一次内示が要求部局に。納得が出来るならともなく通常は納得できないので復活要求を。総務部長に対して。そこで査定が行われ第二次内示が。満足できなければ知事に復活要求を。最終的に予算案が決まる。決まったものは公表される。通常は1月の中旬。予算要求は10月の段階で。この間ずっと密室で情報が出ないまま。しかし重要なプロセス。作業で来年度の自治体の仕事が決まる。事業内容や予算など。やらない事業は来年度は。重要なものだがやらない決断もある。それが数ヶ月の密室の作業で。住民は様々な要請を。保育所など。知らされないまま予算案が決まってしまう。多くの人が予算作成の段階で気持ちがあっても反映されないままに。鳥取県では予算案を作る作業をオープンに。具体的には予算要求の段階で県のホームページに掲載。各部署の予算要求がわかる。査定をして第一次内示が。その過程も。第二次査定や第二次内示が。マスコミや県民もわかる。途中段階で削らないでくださいなど。どんどん言えるように。マスコミは記事にする。新聞を読んだりするなどして県民から声が。それを見ながら県もプロセスの中で活かす。意見の交流が。他にも情報公開を。それにより予算などの仕事の出来具合が良くなるし組織が活気づく。職員もイキイキする。特効薬。

 

公共政策 (放送大学大学院教材)

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  • 作者:貴, 御厨
  • 発売日: 2017/03/01
  • メディア: 単行本