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うつ病と双極性障害(精神疾患とその治療第5回)

気分の障害は日常の延長上で症状が見られがち。大抵の人は健康診断でも見つからないのが現状でそれが問題。

 

石丸昌彦。うつ病と双極性障害。精神疾患でも耳にする。概念にはややこしい事情が。統合失調症。幻聴や被害妄想など独特の症状。非日常であり重症感が。過剰に警戒され距離を取られ阻害される。うつ病や双極性障害は気分の浮き沈み。日常生活の中でもよくある。元に戻ることも。安直に理解できると思われがち。けれども症状は通常とは異なり病的な症状。そこにはかかった人でないと分からない辛さがあり日常の延長ではない。
暗黙の前提としてうつ病が急速に増えている。ストレスフルな現状。ブラック職場や家庭での軋轢や自然災害。うつ病の診断件数は増加している。うつ病の双極性障害の患者数が年々増加していて100万人以上に。11年では一時的に減っている。東日本大震災。震災後の途方も無い混乱。正確に統計も取れなかった。地域の統計が正確に計上できれば逆に増えていたかもしれない。統計のデータを読むのは難しい。96年から14年までの20年弱に患者数は2.6倍ほど増えた?本当に?医療機関も増えているのでその影響も。うつ病という病気の概念や意味するところが変わってきている。現在のうつ病は半世紀前と比べると広い概念に。多様な症状を含む。まずはうつ病の概念の歴史を。うつ病など気分の変調を。以前は躁うつ病と言われた。広い意味での躁うつ病と狭義の躁うつ病が。気分の変調があるものを広義の躁うつ病。その中で狭義の躁うつ病。統合失調症と同じクレペリンに遡る。長期的に観察して悪化の一途をたどるのを統合失調症と。良くなるのを躁うつ病と。まどろっこしい?自分たちの患者のデータを見て症状では区別できないと。症例記録を読むとうつ病性の妄想で苦闘するなど。症状だけでは統合失調症と区別がしきれない。クレペリンの診断体系において内因性。DSMに基づいてなら外因内因心因全てが含まれる。辛い出来事やストレス体験の心因性。現在ではポピュラーだがクレペリンには躁うつ病とは違うと。日本でも80年代までは通用した。DSMの導入で精神疾患の判断に症状を。外因内因心因の区別はなく。軽いものや様々な原因を含む。診断件数の増加に。うつ病の意味は変化して広いものに。
うつ病と双極性障害の関係。抑うつ状態と躁状態。経過には違いがあるが抑うつ状態ではあまり変わりはない。根本的には同じと見るのが主流だった。DSMでも4まではそうだった。気分障害と言う分類に。13年のDSM5で一変。上位カテゴリーを廃止して別個の疾病に。相違を反映。主な相違。両者には男女比や薬など異なる。違いと共通性の双方に。両者をまとめて論じる。
うつ病と双極性障害。気分の障害でくくられる。気分(感情障害)。ICD10。気分の障害が診断名として多い。入院患者には統合失調症が多いのと対象的。うつ病の症状。辛さは日常の延長上ではない。人間の生命活動の全般に変調が。気分の変調。一時的反応的なものではなく持続的な調子。気分がある程度長く、数週間から数ヶ月沈む。逆が躁病。抑うつエピソード。躁病エピソード。抑うつ状態や躁状態。生涯に渡り抑うつエピソードだけがうつ病。双方が双極性障害。架空の症例。内因性。49歳の女性。初発年齢では中年。女性が多いのも特徴。子どもが2人でパートに。郊外に念願の新居を。順風満帆。とりたててストレスが無くてもうつ病に。夫の出世や子どもの就職や留学や新居に。ライフイベントストレスを。おめでたい出来事がうつ病のきっかけにも。今年に入り明け方の暗い内に目が覚めて食事の献立が決まらない。ため息を付いたり。段々と不調が。どこか上手くいっていない。疲れているか年齢のせい?食欲が落ち痩せてきた。便秘が酷いが悪いところはない。旅行にも行ったが楽しめない。迷惑をかけていると感じる。居ないほうが良い?妹が見て驚き精神科に。一つ一つに意味があるが現実には気づかない。DSMの診断基準。DSMは改定する度に大幅な変更があり振り回されるが、5になったときは姿勢にブレはない。抑うつ気分と全ての活動による減退。基本症状として重要。抑うつ気分は憂鬱な気分。絶望感などを含む。うちしおれた様子で外部から見られる。健康なときの寂しさは生き生きと。詩的な鑑賞の対象に。それに対して病的。喜怒哀楽の感情が通らず檻の溜まってような。悲哀ではなく悲哀の不能。興味や喜びの喪失。身体的なもの。性欲の低下。生活習慣、趣味などに関心が持てない。あらゆる面で。特定の場面ではなく。休日の様子についてよく聞くことがある。休日ではハツラツしているのは職場が合わないだけ。くつろげないと問題。そこに焦点を。体重の減少や不眠。早朝覚醒や入眠困難など。深く長く眠りを取るという形ではなく疲弊しながらも眠れない。精神運動抑制。精神運動制止。エンジンの活動にブレーキが。億劫であり気が重い。周囲からも行動の重さが。直ぐに返事が返ってこない。食事の献立が考えられない。本人は不安や焦りを感じる。自責的となり罪悪感を。心身の不調についても自分を責める。自分では病識を持たず。受診動機もない。主人も変調に気がついていたが受診には結びつかなかった。家族はかえって気づかない。希死念慮が離れなくなる。自殺願望は使うべきではない。強迫観念に近い。居ないほうが皆のためと思い払拭出来ない。多彩な身体症状が。ありとあらゆる不調が。消化器症状や肩こりの悪化など。一般の医療機関では気の所為とされているのがプライマリーケアでの問題点。早めに専門医に。うつ病の重症例では妄想が見られる。過剰な不適切な罪悪感から妄想が。罪深い存在であると。貧困妄想。不治の難病に。認知のゆがみ。深刻な病気。
うつ病の治療。休養と薬物療法が柱。より重要なのは休養。時間の経過で回復する傾向。休養の質を高めるのが薬。症状も和らげる。休養を取るのが難しい。休まないように薬を。本末転倒。根本的にも間違っているのを周囲にも。社会人の場合は申し訳無さが患者を苦しめるが休養が早道。薬物療法をすることで抑うつ気分のエピソードの80%を。自分の努力が足りないと責めるので家族も含め心理教育を。治療経過で警戒すべきは自殺。心理教育でも。希死念慮を確認して誤った行動を取らないように教育を。症状の一種。希死念慮が強くて実行に移すとなると入院に。妄想なども、自営業者や専業主婦など。抗うつ薬。50年代以来の長い歴史。病相を短縮する効果が。昔は便秘など不快な副作用が。SSRI。セロトニンなどは副作用が少ない。直後から出るが効果は2週間後なので怠薬や治療中断が。作用機序。セロトニン系などが。しかしよくわかっていない。認知療法。軽症では薬物療法に匹敵。ありがちな非適応的な認知パターンの修正を。再発予防の効果。実際に悩まされている状態で認知を修正するのは簡単ではないが再発防止には有効。
双極性障害と躁病エピソード。躁病エピソードについても架空の症例を。28歳男性。穏やかで協調的。数週間前から様子が。声が大きく強く自説を主張する。上司にも食って掛かる。馴れ馴れしくなる。後輩に気前よく。女性にセクハラ的言動。一晩でかきあげた数億円のプロジェクトの起案書を。錯綜して意味不明。外出先で喧嘩を。医療保護入院。随分華々しい?ありがちな流れで誇張ではない。気分爽快で本人が充実していれば良い?病気が人を変える。元々の性格ではない。爽快気分や精神運動の興奮。限度を超えて過剰になる。観念が次々と湧く。注意散漫に。周囲と衝突。睡眠の短縮。メカニズムは正反対。過剰に元気になり躁病エピソードでは問題行動が。金銭浪費など。性格からかけ離れ本人の名誉を傷つける。躁病エピソードは3ヶ月で収まるのが普通だが、社会の信頼を失い苦しむ。治療。主観的には爽快で充実していて治療動機がない。強制入院が必要になる場合も。躁病エピソードには向精神薬を。静まったら抑うつエピソードなどで使い分けていたが、後から追いかけて後手に。平準化させるために気分安定薬を。将来のエピソードを予防する。ただ薬の選択肢は十分にはない。心理療法は不可能に近いので薬物療法や入院を。予防的に。適切な用心が出来れば予後が期待できる。

 

精神疾患とその治療 (放送大学教材)

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  • 作者:石丸 昌彦
  • 発売日: 2020/02/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)