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デュルケム:『道徳教育論』(発達科学の先人たち第6回)

人間の前に社会があるという前提は今の人間には理解し難いと思うが、議論の帰結は案外と常識的なのだなと感じる。

 

岩永雅也。デュルケム。「道徳教育論」。道徳教育論者。コントに始まる社会学を学問として。道徳教育論者としても有名。多くの講義録を。翻訳も。教育思想に。教育事象の実証主義的分析。実証主義的。フランス革命。ルイ16世。ギロチン。バスティーユ襲撃など激しい時代。おどろおどろしい。革命中の革命。大規模で残酷。徹底した市民社会化。ルイ16世の処刑に代表される封建制社会から近代市民社会への移行。革命による第一共和制。近代国家の出発。ナポレオン。皇帝となり軍事力を。ナポレオンが失脚。第二共和政。長続きせず、ナポレオン三世の第二帝政。プロイセンとの戦いで皇帝自身がが捕虜に。第三共和制。デュルケムもその最中に。1870年に発足した当時の第三共和制。75年に憲法を発布して安定化。40年のナチス・ドイツの占領まで70年間続く。他国にない徹底した公的活動と宗教の分離。公教育からの教会権力の排除。当時の文部大臣は、道徳教育は学校にと。それまでキリスト教があって善悪を。排除してしまうと何を基準にしたら良い?実は大変危険なことだった。西洋社会では長い間に善悪の価値はキリスト教から。規範や道徳の危機。宗教的統制がなくなり、犯罪や騒乱など逸脱行為の急増。デュルケムは第三共和制の中で生きる。混乱した状態だったからこそ考え方の元になる。ユダヤ教のラビの家系に生まれていて。第三共和制の時代精神を。根底にある実証主義。どんなことでも実際に証明?簡単に言うと、社会事象は超経験的な超研究的な、現実から離れた概念ではなく、観察され認識される経験的事実について。社会的事実をあるがまま客観的に。社会的事実に対してあたかも物理学的に測定するように考察しなければならない。自然科学の方法を社会科学のモデルに。社会的な事柄をもののように測定するのは難しい?離婚率など客観的に?もう一つ重要なのは、対象が社会的存在というもの。純粋に個人的な存在と、自分の属する集団や他の人間との関わりの社会的存在。集団内のルールや考え方で統制されているが、それらを内部に写し取って。内面に写し取る。行動や考え方は社会の存在で統制され支配される。個人的集合体が結果として社会を作るわけではない。車で150キロで走らせたいが100キロの制限が。社会的規範。それによりスピートを落とす。内面化、社会的存在としての個人。一人ひとりを超越した社会の存在。一人ひとりの内面に。数学や国語などと違い道徳教育を。教科教育より遥かに規範についての教育が重要。
生まれや育ちや生涯。58年にロレーヌ地方で産まれる。デュルケム家はラビ、ユダヤ教の。中学校で飛び級をしてバカロレアを2年超えて獲得。パリで勉強しようと79年に21歳で高等師範学校に。大学の入学資格を得たのに?グラン・ゼコールに入るにも大学入学資格が。グラン・ゼコールは高度な専門職の教育。大学より威信が高い。指導的人物が卒業。多くの哲学者や科学者などが輩出。シャンパーニュ地方のリセ。高等学校の上級。教職について哲学を教える。28歳にはドイツに留学。大学の先生になり自殺論などを刊行。名前が広く知られる。02年にパリ大学、ソルボンヌ大学の教育学に傾斜。講義録の作成。16年頃から病気がちに。17年に隠遁。半年後に死去。ロシアで10月革命の直後。つかの間の安定期に。今の感覚ではかなり亡くなるのが早い。社会と殺伐も。親友を自爆テロで。子どもが戦争で亡くなる。
「道徳教育論」。02年の道徳性の教育についての講義を元に。社会における教育を重要視。宗教に依拠しない道徳教育。人間に置き換える道筋を。道徳教育の実践方法を。高度であったが実践的。先生の卵の学生の必修科目。実践的な側面が。各回のタイトル。教育事象を客観的に社会事象として把握する考え方が相対的に展開。道徳性とはなにか。道徳性の諸要素を教育により子供の内面にする詳細の方法。道徳性の諸要素。近代の教育学者たちはごぞって教育を個人的事物となす。ただ心理学から直接に導かれると。教育の目的は本性を個人に実現し完成の域に高める。教育なるものは1つ。全ての人間に等しく適合。抽象的で唯一の理想こそ決定しようとしたこと。人間性はただ1つ。形態ははっきりと決定しうる。人間性の上に教育的働きかけを。それまでの教育学の理論が唯一の価値を内面化。キリスト教や自然的価値。ルソー。そもそも自然主義的な。神様の存在を教育から外すのが前提。伸ばしさえすればよいという教育。抽象的な理想を前提にしていると。全く方法性が異なる。全人類に対し普遍的な教育は存在しなかった。カーストにより構成される社会。教育はカーストにより異なる。古代ローマはパトリキの教育は異なる。バラモンの教育はスードラと異なる。社会階級の異なる、居住地の異なる。現実的に異なる。都市と農村。ブルジョアと労働者。時代や社会のあり方により変わりうる相対的なもの。唯一絶対のものと見ることは出来ない。古代社会の歴史と精神史も研究。教育的価値の相対性。教育の主体は社会。実は社会が自己を維持するために分業を。ある一定の方式でなされることを要求する。社会が教育により働き手を。教育は社会のために社会によって。個々の人ではなく。自分ののぞみに見えても、社会自身が教育という手段で。エミールの冒頭。人間の手に移ると悪くなるとは違う。大人たちが最小限のケアをすることで自然的に伸びるとルソーが。子どもはあくまで教育の客体。社会がそれ自身のあり方で。社会が意思を持つ。デュルケムは社会そのものを擬人化した存在と。意図的に社会化するのはごく自然。個人的存在と社会的存在。我々自身、個人的生活の全ての精神状態。個人的存在と呼ぶ。他方は内部に人格なくして観念習慣の一体系。宗教的進行など、職業的伝統。集合的意見など。総体は社会的存在が。個々人に作り上げるのが教育の目的。この新たな存在こそ社会的存在。信仰など社会的な個人に。人々の精神には即時的な部分と。主体としての自分Iと他者からの自分のMe。教育の最大の目的はMeとしての自分を形成すること。
教育学の特徴。それ自体は科学ではないが教える技術とも異なる。元来技術とは習慣組織された能力などから構成。教育者の手腕や実践。教育学に深い造詣がなくても教師にはなれる。モンテーニュ。モラリスト。エセー。随想録の作者。常に私はなにを知っているか。懐疑的な。教育には向かない。結婚は鳥かご。ルソーはエミールの著者。私生活はかなり非道徳的。子どもを孤児院の前に捨てるなど。ユニークな教育を。子どもたちが家庭を抜け出て生活に仲間入りする小学生になる際に。規律の精神。道徳的行為。規則に合致。道徳的に振る舞うとは一定の基準に沿って。決心するまでもなくそれ以前になすべき行為を決定している。規則性はあくまで道徳性の一要素であるに過ぎない。規則性の分析をすればもう一つの要素が。権威の概念。我々に優越するもの支配力。支配力があるが故に権威の方向に導く。単なる習慣の体系ではなく命令の体系。デュルケムは道徳性の第一が。規則性と権威。規則と権威が大事ならキリスト教と同じ?権威主義的で抑圧的。暗示が効果的とも。初期の段階では権威的に教え込むことが大事。批判もあるがあくまで小学校の話。権威主義的道徳論と変わらない?支配的道徳観がキリスト教なら暗示をすれば良い?社会は全く中立的な理念的社会だが。現実には宗教的社会なので。矛盾を孕んでいる。道徳性の第二要素。何らかの社会集団への愛着。自己以外の他者に結びつかなければならない。社会との連帯感を意識する。家族に結びつける。周囲の集団への愛着や連帯。自分の周囲の集団に愛着を。愛情を全く感じない相手に礼儀を尽くそうとは思わない。第三の要素。規律を尊び愛着するのに加え、自己の行為の理由について明確な意識を。今後公衆の意識が完全に道徳的な自律性を。道徳を理解する知性。つまり権威主義的に遵守を命じられても意味や効果を理性的に判断できる知性がなければ。
デュルケムの3要素。道徳の合理的理解。道徳教育の第二部ではどのように内部に形成するか具体的方法を。暗示にかかりやすいなど。新しい習慣に固執するのも必要。幼い頃に一定の価値を刷り込む。児童の時期が道徳教育に最も適する。社会を特別視していて社会のために人がいると。社会を大きく絶対的に考える。

 

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