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財政学と現代日本の財政(財政と現代の経済社会第1回)

講義の担当者は高校の同級生。元気でいるようで何より。

 

諸富徹。財政とは何か。現代の経済の変化と絡めて。財政活動を国家の資金のやり取りに限らず、経済との関係、グローバル化と産業構造の変化や経済成長と景気循環、広くダイナミックに捉える。社会との関係、相互作用。少子高齢化や格差の拡大。政治行政改革などの社会の変化とともに。財政の果たすべき役割を考える。財政は生活に深く関わる。買い物で消費税。稼ぐと所得税。会社で源泉徴収。土地や住宅などの資産に固定資産税が。生活のあらゆる側面で税金が関わる。道路や上下水道や警察や消防など公共施設サービス。整備するのは国家の役割で税金が。2018年1月22日の安倍総理の施政方針演説。20年の大きな目標。3%以上の賃上げ。積極的に投資をする企業には法人税を25%程度に引き下げる。世界で戦える環境を。収益が拡大しているにも関わらず投資に消極的な企業には研究開発費など優遇税制の停止。財政演説。一般会計総額。地方交付税交付金や国債費。歳入。租税等の収入。59兆円。その他収入。国会の予算委員会。国会での予算を巡る質疑や議論は重要。負担する税金は本当に社会や経済を豊かにするよう役立っているか。チェックするのが議会の役割。具体的には予算や決算。私達は納税者や主権者として求める役割と仕事をしているかを。仮に実現されていないとすると、その是正を求める権利と責任が。財政に切り込む視点は以上のように。第1回目は財務省の資料を用いて日本財政の現状を。
日本の財政の現状を18年度の予算を元に。財務省の「日本の財政関係資料(2018年3月)」から。予算は歳出や歳入の両面から成り立つ。歳出。一般会計予算における「歳出」規模と内訳(単位:億円)。歳出総額は977,128。基礎的財政収支対象経費が744,108(76.2%)で国債費が233,020(23.8%)。内訳。社会保障に329,732(33.7%)、地方交付税交付金等に155,150(15.9%)、公共事業に59,789(6.1%)、文教及び科学振興に53,646(5.5%)、防衛に51,911(5.3%)、債務償還費に142,745(14.6%)、利払費等に90,275(9.2%)。ほぼ4分の1は国債費で占められる。借金返済に。事業に対する費用が4分の3。毎年の支出額。最大の費用は社会保障。高齢化で増加傾向。今後ますます高まる。どのように賄うかは最大の課題の一つ。次に歳入。歳入の6割が税収だが6割しか。借金、公債金が3分の1。国家の収入は税金だけではない。財政が借金なしに回っていかない。支出を賄えない。将来返済しなければならない金を歳入とするのはおかしい?実際に使える資金を歳入とする。借金体質となったのは?バブル崩壊後の日本財政の推移。転換点は90年。一般会計における歳入歳出の推移。90年以前も歳出が税収を上回っていた。しかし差は大きくなく90年に向け縮小傾向に。しかし歳入が右肩下がりに。歳出は増加傾向に。ギャップが拡大。結局は借金をするしかない。借金依存体質が深刻に。毎年度の公債発行高。90年の時点では一旦6.3兆円までに縮小したが、18年時点で33兆円に。4条公債、建設国債。財政法第4条で公債の発行は禁止。公共事業費などの例外規定で公債発行をするのが実情。公共事業が例外扱いされるのは、国有財産の形成に資するから。便益により国民の享受する利益は長期に。国有財産の耐用年数にもよるが、40年から50年の期間に便益が。将来世代の負担を求めても長期でバランスが取れる。公債が発行されても建設国債なら財政規律は保たれる。これに対し特例公債、赤字公債。建設公債のような正当化が出来ない。費用負担を将来世代につけまわしを。建設公債と赤字公債の発行額。90年度予算の時点ではすべてが建設公債。ところが18年度予算ではほとんどが赤字公債。全体の80%を。税収が足りなくなり建設公債に限定されない。日本の財政規律が失われる。日本財政の持続可能性。公債が積み重なる。一貫して公債残高の増加。主たる増加の要因は赤字国債の急増。18年度予算では883兆円。国民1人あたり700万円。現世代が返さなければならないわけではないが。借金依存体質で財政は大丈夫か。実は公債を金融機関等の機関投資家や個人が吸収しているので、順調に購入。公債残高が増えても市場で吸収され公債価格の暴落は心配する必要はない。企業や家計と異なり国家は租税という強制的な財源調達手段があるので倒産は有り得ない事情による。絶大な信用力。公債にとり望ましい環境が未来永劫続く保障はない。公債保有者が公債償還能力に疑問を持ち市場で売却をしだすと暴落が。財政を賄えなくなり財政破綻に。defaultに追い込まれる。日本財政が財政破綻に追い込まれるのは現実性はなく遠い将来?11年の欧州債務危機。ギリシアの財政統計に粉飾が見つかり疑念が発生して財政悪化の問題。公債の価格が急落。政府への信任が失われる。ギリシアだけでなくポルトガルなどにも、恐慌に。ギリシアの支援を整える。ギリシア自身の取り組み。ギリシアと日本の環境の相違。突然やってくることはあり得るのは教訓として。これまで公債残高が積み重なると財政赤字による公債発行に。自然現象ではないし超常現象でもない。我々自身が選択をした結果。逆に言えばこれからの選択で国家財政の行方が決まる。公債残高累増の要因。90年以降、最初に増えたのは公共事業関係費。景気回復のために公共事業を盛んに。ところが収束して代わりに社会保障関係費が一貫して増加。主原因は今でも。歳入面の原因。137兆円分。税収減もあるが、景気低迷や累次の減税。減税政策も要因。一種の景気対策でやむをえなかったが。日本の財政の状態を国際的に。主要先進国の財政収支の国際比較。対GDP比。各国とも08年のリーマンショックの影響が。軒並み財政収支の悪化。財政赤字の拡大。09年を底に回復したが。17年現在では日本とアメリカの財政収支が最も悪化。続いて財務残高の国際比較。各国ともリーマンショックの財政危機が。税収の落ち込み。しかしほぼ横ばいに。抑制を図る。日本は90年代からずっと悪化。今では横ばいになっているが他の先進国と比較してずば抜けて悪い。これに対して主要先進国の純債務残高の国際比較。債務残高から金融資産を引く。たくさんの保有資産を差し引くと問題はないはずという主張が。しかし00年代後半に日本は悪化。イタリアと並んで主要先進国の中では最悪の状況。
財政学は何を考えるべきか。財政の状況を踏まえて。財政の動向は経済と密接な関連を持つ。経済状況は歳入面に大きな影響を。歳出面では景気が悪化すれば公共事業の増額を。短期的に財政状況の悪化に。景気回復になれば税収増で財政に好影響を。財政赤字は確かに問題だが経済状況を一切顧みないで歳出を切れば財政再建どころか逆に景気を冷やす。そうなると今度は税収減になり財政悪化に。経済と財政の相互作用。経済状況を無視は出来ない。我々がどのような社会を目指すのかが財政の重要な方向や役割に。目指すべき社会像。実現する手立てとしての財政。例えば自由競争万能で経済成長率は高いが格差が大きいのを許容するか、社会の安定や安全性を重視して、経済成長率は低いが格差が小さい社会を。選択肢のうちどちらを目指すか。成長重視型の社会。歳出は経済成長率に資する目的に重点を。社会保障費は削られる。歳入面では法人税や所得税などの過重な負担を避ける方向に。公平な格差の少ない社会。歳出は増やして社会保障費を。歳入面では高所得者に課税をしっかり。能力を持つ者に負担を。税制を通じて所得再分配を。財政は目指す社会の方向で異なる。手段として機能する財政。財政の持続可能性も重要だが財政均衡だけに陥っても今度は経済に負の影響を。将来に向けての投資が重要。財政破綻を避けて財政と経済の調和を。未来への投資の狭い道を手探りで。財政学は完全な答えを提供できないが進路を考える手がかりを与える。
財政学とは何か。伝統的に国庫における貨幣の出入りを分析する実証分析。あるべき姿を提示する規範分析。伝統的に2つの側面。具体的な内容は。景気論、租税論、国債論、予算論の4つの領域から。但しこうしたこれまでの財政学の対象を公共部門に限定するのは狭すぎる。狭義に加えて2つの追加を。主要な追加点。財政を経済と社会の関連で分析、資本主義経済システムの発展と国家の相互作用。実際に過去の経済学を振り返ると資本主義経済の発展が国家に、国家が経済システムの変化を促す。国家の行動規範を打ち立てる。社会との関係、資本主義経済の発展が市場経済を変質させる。貧困問題などの問題を作り出す。国家が社会問題を解決するにはどのような政策手段を採用するか。第2の課題。国家機能論の展開。貨幣現象の背景。国家の意思の存在。予算書を見ると国家の行動が見える。国家の重点政策を見出すと国家の経済での役割を客観的に明らかに。実証分析の課題。規範理論。国家の行動規範を打ち立てる。望ましい社会像。国家の機能を。政策領域や政策課題について資源を効率的に配分する。財政政策。
財政を経済・社会との結びつきで。財政均衡との関係。中身を問うのも大事。未来の社会像を考えながら予算を。投資の考え方を入れていく。

 

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