F-nameのブログ

はてなダイアリーから移行し、更に独自ドメイン化しました。

老年看護学 第11回 老年期に特有の疾病・症候と回復に向けた看護支援3 -リハビリテーション # 放送大学講義録

リハビリは自分でするのも他人にしてもらうのも大変なことである。このことは高齢者医療に触れると分かる。

 

blog.kaname-fujita.work

 

-----講義録始め-----

 

老年期に特有の疾病・症候と回復に向けた看護支援-リハビリテーション

老年看護学の一環として、老年期に特有の疾病や症候に対する看護師の役割は非常に重要です。特に、回復に向けた看護支援やリハビリテーションが中心となります。

リハビリテーションは、身体機能の回復を目指す運動や訓練を指します。例えば、麻痺により日常生活に支障をきたす患者に対して、その能力を取り戻すためのサポートが求められます。しかし、リハビリの意味は西洋では「犯罪者の社会復帰」という側面も持ち合わせており、単に身体機能の回復だけでなく、奪われた能力や権利の回復も含まれます。この点で、WTOによる具現化や「その人らしく生きる」という能力の回復が重要となります。

障害に関しては、ICIDHによる障害分類や障害の階層性が存在します。障害は、社会的不利をもたらす疾病が原因とされることが多いですが、主観的な項目が十分に捉えられていないという課題もあります。ICFでは、障害をマイナスの側面だけでなく、力の統合や全人的な側面から捉えることを提唱しています。これには、健康を生み出すプラスの力や、している活動とできる活動、さらには参加という概念が関わってきます。また、障害の背景には環境因子や個人因子が影響しており、これらが生活機能全体のアンバランスを生むこともあります。

リハビリテーションの中心は、患者の潜在的な力を引き出し、その人の生活を把握することです。これはADL(日常生活動作)の観点とも重なります。ADLは、セルフケアや基本的な日常生活動作(基本的ADL)、手段的な日常生活動作(手段的ADL)、さらに拡大された日常生活動作(拡大ADL)に分けられます。

具体的なリハビリテーションでは、患者の潜在的能力を把握し、ICFの観点から機能回復の訓練やADLの向上を目指します。特に高齢者の場合、将来的な展望が見えづらいため、その人なりの意味や生活の喜びを中心に、医療や介護が一体となったサービスが求められます。

急性期リハビリテーションでは、充分な疾病管理とリスク管理が必要です。一方、回復期リハビリテーションでは、患者が現在している活動を評価し、生活の質を高めるためのサポートが重要となります。この過程で、患者を主体者として捉え、プラスの側面に焦点を当てることが大切です。