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認知症中期の症状とBPSD対策について解説。日常生活動作(BADL)の支援、認知症ケアチームの役割、認知症看護と心理支援の重要性を紹介します。 (保健医療心理学特論第8回)♯放送大学講義録

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中期には場所の見当識障害が生じて道に迷ったり、排泄や入浴など基本的日常生活動作(BADL)に一部解除が必要となります。自身の能力低下に直面し、羞恥心や介護に対する抵抗感が生じるなど、BPSD(行動・心理症状)が活発になりやすい時期です。夜間の不眠や徘徊がある場合、家族が十分に休息を取れず、介護負担も重くなりがちです。

身体合併症やBPSDの治療、あるいは社会的困難が深まった場合には入院が必要となることもあります。当センターでは、認知症ケアチームという多職種チームで、認知症の患者に配慮したケアに取り組んでいます。

認知症ケアチームの中心的役割を担う認知症看護認定看護師に、入院中に相談されることの多い点滴の自己抜去や排泄ケア、心理士に期待される役割についてお話を伺いました。

「BPSDに関しては、認定看護師として非常に手間がかかる大変な症状と見なされがちです。しかし、BPSDだけに注目してしまうと大事なことを見落とす可能性があります。まずは、その行動に至った原因を細かく考えることが大切です。例えば、点滴を抜こうとする行動がBPSDだと決めつけるのではなく、テープが痒いとか、テープの止め方に違和感があるなどの原因を考える必要があります。そういった要因を取り除くことが大事です。」

頻繁にトイレに行きたいと訴える患者さんや、ナースコールを頻繁に押す患者さんについても、認定看護師としてどのように対応するか、一般のスタッフや心理職に助言をお願いできますか。

「頻尿で何度もトイレに行きたがる患者さんについては、よく質問を受けます。そういった患者さんは失禁しない方が多いです。心理的な側面や環境面、身体的な要因をすべて考慮しなければなりません。例えば、軽い膀胱炎があるかもしれません。そのような身体的な要因をチェックし、見つからない場合は、失敗したくないという心理的な要因があると考えます。」

このように、認知症患者の行動には多くの要因が絡んでいるため、慎重な観察と対応が求められます。心理士として、患者と家族の不安や悩みに寄り添い、適切な支援を提供することが重要です。