5年前は同居家族として介護する必要があると考えたのだが、今では此方が介護されることを考えないといけない。
-----講義録始め-----
老年看護学:家族の役割と支援
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1. 家族の定義と特性
- ・ 家族とは何か?近年、家族の概念や形態は多様化している。伝統的な家族の形から、さまざまな形態の家族が存在する。
- ・ 家族の特性には、ケア機能や家族員としての自覚、個人の内的な自覚などがある。看護者にとって、家族をそのままの形で受け入れることが重要である。
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2. 在宅の要介護高齢者と家族
- ・ 要介護者数は増加しており、その主な介護者は家族であることが多い。特に、女性が介護者としての役割を担うことが多い。
- ・ 介護の負担は大きく、介護看護を理由とした離職者も増えている。
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3. 家族アセスメントモデル
- ・ フリードマンのモデル:家族と社会の関係性を重視する。
- ・ 渡辺式:家族が抱える問題に焦点を当てる。
- ・ カルガリー式:問題の核心となるビリーフ(信念)に注目する。
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4. 家族への看護支援
- ・ 家族の生活を尊重し、主介護者への支援を行う。家族自身を主体者として捉えることが重要。
- ・ 家族の危機を予見し、適切な介入を行う。疾病の理解や認知症に関する知識を持ち、介護家族に対する偏見に立ち向かう勇気が求められる。
- ・ 事前の準備や判断の遅れ、否認が問題となる場面もあるため、これらに対する対応が必要。
5. 家族の変化と心理
- ・ 介護は日常の一部となり、その期間は長期に及ぶことが多い。家族は絶え間なく変化する状況に適応する必要がある。
- ・ 介護に伴うストレスは、身体的なもの(慢性的な疲労感など)や心理的なもの(イライラ感、失望感、挫折感など)がある。
- ・ 介護することで家族の環境も変わり、多くの場合、二人きりの介護となる。精神的なサポートが必要な場面でも、医療機関を受診しない介護者も多い。
- ・ 介護体験を意味のあるものとして捉えることができる者もいるが、共感的ケアが重要である。家族会への参加や医療機関の受診を勧めることも大切。
- ・ 家族は自らのニーズを外部に伝えるのが難しいことが多い。
6. 家族への支援
- ・ 介護者の健康に注意を払い、ショートステイやデイケアなどのサービスを利用することで、心理的負担を軽減することができる。
- ・ 介護者には全ての介護を一人で行う必要はないということを伝え、サポートを提供することが重要である。
以上の内容は、老年看護学の一環として、家族の役割とその支援に関する重要な概念や考え方を示しています。家族の役割や負担、そしてそのサポートの方法についての理解は、高齢者のケアにおいて非常に重要です。