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(効率公正モデルの限界と社会的規制の重要性:IMF政策の影響、中国の経済成長、ロシア経済の混乱に焦点経済政策第1回その3)♯放送大学講義録

中国社会がどのようなものになるのかは日本にとっても重要である。

 

------講義録始め------

 

それでは、4番目の質問に移りたいと思います。先生のお話を伺い、効率公正モデルでは社会的規制の重要性が無視されがちであることがよくわかりました。テキストの17から18ページにあるように、IMFの政策でロシア経済が混乱し、社会的規制と市場を両立させようとする中国で記録的な経済成長が見られるのは、効率公正モデルでは説明が難しいということも理解しました。

しかし、社会的規制には良し悪しの側面があると思います。特に、強権的な性格を持つ中国の社会的規制の良し悪しについては大いに気になります。そこで、先生の不確実性社会的規制モデルから見て、中国の社会的規制をどのように評価できるのか教えてください。

はい。社会的規制には良い規制と悪い規制があると思います。特に、共有資本がない場所では、共有資本を強化するために社会的規制が必要になります。例えば、8時間労働制は、労働者が家族と過ごす時間を保証するために必要な社会的規制です。しかし、経済的規制については、自由化が進んだ先進国では、解除しても良いと思いますが、社会的規制まで緩和してしまうと共有資本が失われたりする可能性があります。

ソ連や中国の例を見ると、1990年代に市場経済に向かう過程で経済的規制を解除するだけでなく、社会的規制まで解除してしまった疑いがあります。特にロシアでは、規制の撤廃を急いだために混乱が生じました。中国の場合、1990年代初頭に部分的に自由化を進め、それが経済成長につながりましたが、中国が今後どうなるかは予測が難しいです。

中国の政策は、共有資本を大事にする傾向がありますが、今後どうなるかは不明です。一方、ロシアでは強権的な手法により共有資本が失われる可能性があり、その点が私は心配です。中国の不確実性への対応、すなわち社会的規制をどのように進めるのかは注目していきたいところです。