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(睡眠段階の解説:アルファ波からスピンドル波、デルタ波までの変化、睡眠深度とレム睡眠時の筋肉活動の低下を説明。睡眠と健康第4回その8)#放送大学講義録

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先ほど、睡眠の深さを調べるためには脳波、眼球運動、筋肉活動の3つを測定する睡眠ポリグラフ記録が必要であると述べました。これらを用いることで、睡眠の深さを表す睡眠段階を判定できます。それでは、各睡眠段階について説明しましょう。

睡眠段階1が数分続くと、脳波にスピンドル波が現れ始め、睡眠段階2の始まりを示します。睡眠段階2では、目の動きは停止し、呼吸が規則正しくなり、骨格筋の力が抜けます。睡眠段階1ではハンドルを握ったままの姿勢を保つことができますが、睡眠段階2ではそのような状態を保つことはできなくなります。座っている状態では、頭がどこかにもたれかかるようになり、簡単な応答もできなくなります。印刷教材の図4の3をご覧ください。図4の3の左側の図は、2種類の音を鳴らした際に片方の音に対してボタンを押して反応する実験の結果を示しています。睡眠段階1では反応率が90パーセントですが、睡眠段階2では30パーセントまで下がります。

このように、簡単な音の識別もできなくなります。また、睡眠段階3、4(深い睡眠)やレム睡眠の際にも、ほとんど応答できないことがわかります。睡眠段階2に入ると意識がなくなり、起こされた際には、眠っていたと自覚します。しかし、睡眠段階2の最中は、自分が眠っているという感覚はありません。睡眠段階2では軽複合波と呼ばれる大きな波形が出現することもあります。睡眠段階2が数分続くと、脳波にデルタ波が現れます。デルタ波はアルファ波よりも大きく、ゆっくりとした波で、デルタ波睡眠とも呼ばれます。

デルタ波睡眠では、音を鳴らしてもほとんど応答できず、呼びかけてもなかなか目が覚めません。目が覚めても、眠気が強くてもうろうとした状態で、すぐに眠ってしまいます。このような状態では作業もできません。この状態を睡眠慣性と呼びます。睡眠段階3と4の違いは、デルタ波の出現率にあります。睡眠段階3ではデルタ波が20パーセント以上、睡眠段階4では50パーセント以上の時間を占めます。

レム睡眠の始まりは、脳波が睡眠段階1に似ており、筋肉の緊張が著しく低下します。印刷教材の図4の2を見ると、レム睡眠中の筋電図が示されています。この筋電図は、顎の筋肉の活動を示しており、レム睡眠中は筋肉の緊張が低下し、記録は細くまっすぐな一直線になります。

レム睡眠中でも、注意を向ければ応答が可能ですが、ノンレム睡眠とは異なる状態です。