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発達障害の理解、特徴、教育原則を学び、社会モデルに基づく対応と二次障害予防の重要性を強調。ADHD、自閉症スペクトラム障害に注目。(精神疾患とその治療第11回)#放送大学講義録

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今日は、発達障害の概念を理解し、例えば自閉症スペクトラム障害やADHDなど、主な発達障害の特徴と教育の原則について学びます。

また、発達期における様々な問題への対応の原則についても学んでいきたいと思います。まずは、発達障害の概要についてお話しします。今や、発達障害は一部の専門家だけが扱う概念ではなく、テレビの健康番組や専門番組だけでなく、一般の番組でもしばしば取り上げられています。雑誌やインターネットを含む様々なメディアでも同様で、発達障害が取り上げられない日はないと言っても過言ではありません。

どうして発達障害の概念がここまで広まったのでしょうか。発達障害の重要性については、テキストの表11-1に触れています。発達障害と診断されうる人々は人口の約1割にも及び、極めて一般的な状態であるということが挙げられます。つまり、学校のクラスに30人の生徒がいれば、そのうち2人から3人、場合によっては4人が発達障害と診断される可能性があるということです。これは学校だけでなく、社会人になっても同様です。

つまり、生まれつきの発達特性や発達障害が隠れている可能性を考慮し、その観点からの分析と対応を行うことで、うまくいく場合があるわけです。先にも述べたように、発達障害は子供だけの問題ではありません。

社会人になって初めて問題が明らかになる発達障害も珍しくありません。日常生活で生きづらさを感じる場合、それは本人の努力不足ではなく、生まれつきの発達特性が影響している可能性があると考えられます。

そのような場合に、単に努力不足だとする見方は不適切であり、発達特性に合わせた環境調整を行うことで、初めて問題が解決する可能性があります。また、老年期の発達障害も、介護の現場などで注目されています。

認知症などとは異なり、発達障害は生まれ持った苦手さが一生涯続くという特徴があります。ただし、発達障害は医療モデルだけでは対応しきれない側面があります。

何らかの脳機能の障害が原因であることはわかっていますが、その先の根本的な医学的原因は明らかになっていません。そのため、検査をして原因を突き止めたり、悪い部分を治療するというアプローチは採用できません。むしろ、発達障害の支援とは、1人1人の発達特性を理解し、それに合わせた適切な対応を工夫することで、日常生活の質を向上させ、社会と個人の間の不適応を改善していくという社会モデルに近い対応が求められます。

この点については後半でも触れたいと思います。さらに、不適切な対応が重なることで、本来の発達特性に加えて様々な二次障害が生じることがあります。多くの精神疾患は、発達障害への不適切な対応が原因で生じる二次障害として発症していることを忘れてはなりません。

そして、二次障害は適切な対応によって十分に予防可能であるということを心に留めておきたいと思います。二次障害についても後ほど触れたいと思います。