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労働契約上の主たる義務と付随義務を解説、労働者の労働と使用者の賃金支払い、安全配慮や人格権保護に焦点。(雇用社会と法第4回)#放送大学講義録

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では次に、2番目のポイントである労働契約上の権利義務について見ていきましょう。

労働契約の主たる義務と付随義務について図示したのがこちらの図です。左側が労働者、右側が使用者です。主たる義務と付随義務を整理してありますが、まず主たる義務から見ていきましょう。

主たる義務とは、労働契約の基本となる義務で、労働者は労働義務が主たる義務になります。これに対して使用者は賃金支払い義務を負います。ここで吹き出しが2つありますが、左下の吹き出しから見ると、労働義務とは、単に働くだけではなく、労働者が使用者の指示命令に従って働くことが求められます。ですので、指揮命令に従わない働き方をしても、労働義務を果たしたことにはなりません。また、職場秩序を乱さない誠実労働義務、そして職務専念義務も含まれます。使用者側については、右側に示されており、労働者が提供する労働に対して、人事権や業務命令権、懲戒権などを行使できるとされています。労働契約は、主たる義務だけでなく、付随義務もあります。付随義務として、労働者側は、協力義務や秘密保持義務などを負います。これに対して使用者側は、右側にありますが、安全配慮義務、これは労働契約法に規定されています。そして、職場環境配慮義務、解雇回避努力義務、また労働者の人格権保護などが付随義務として使用者側にあります。

さらに、最近では労働者のプライバシーや人格権を保護する要請も強くなっています。使用者は、働かせる際にこれらの付随義務を履行することが求められています。