F-nameのブログ

はてなダイアリーから移行し、更に独自ドメイン化しました。

日本バレエの挑戦と海外での成果。(舞台芸術の魅力第5回)#放送大学講義録

-----講義録始め-----

 

「先生は海外でコンクールの審査員として何度も活動され、日本人が海外のコンクールでよく入賞するため、多くの優秀なダンサーを育ててきました。これはどうしてでしょうか。日本人の強みは何でしょうか。」

「先生方も、生徒も、徹底して勉強されています。日本人の真面目さが、先生にも生徒にもありますので、コンクールで求められるテクニックを身につけるには、この真面目さが役立っています。以前は海外のコンクールで日本人が取り上げられることが少なかったですが、今はクラシックバレエとして高く評価されています。」

「そして、私が感じるのは、日本のバレエ団が海外に持って行って観客を引きつけられるような作品が非常に少ないということです。この問題の原因はどこにあるのでしょうか。」

「それは振付師を育てることにあります。記者会見でよく聞かれますが、「どうやって育てますか?」と。しかし、それは簡単なことではありません。公演で連続して実験的に作品を作り、舞台に乗せて、経験を積み重ねながら改善していく必要があります。ニューヨークのバランシンは「100作品作って、その中の1作が良いものになる」と言っていました。これは、振付がいかに難しいかを示しています。

教えることは困難です。振付をするためには、自分に才能があり、その気持ちがなければなりません。いろいろなものを見て吸収し、多くのアイデアを持つことが必要です。オペラの監督も、アシスタントとして多くのオペラを知った後でないと難しいと言われています。

急に育てることは難しいです。現場で実際に経験しないと、振付の才能が芽生えることはありません。

しかし、日本の場合、舞台の機会が少ないです。海外では年に100回ほど公演がありますが、日本では国立で30回から40回程度、他のバレエ団も30回以下です。このため、新しい振付師が育つのは難しいです。」