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日本仏教の深層2 -葬式仏教(日本仏教を捉え直す第12回)

一口に仏教と言っても国により形態が違う。私は創価学会員だが他の宗教と葬式の形式はかなり違う。何しろ僧がいない。進歩と言ってよいのかどうかはわからないが。

 

末木文美士。葬式仏教。日本仏教の深層。しばしば葬式仏教と軽蔑される。僧侶の役割はお墓を守ることなどに。寺の収入になっている。明治時代から生者の生きるためのものに。近代の仏教学は仏教の解明で理論を裏付けようとする。釈尊の生き方は生者のものと。葬式仏教は通俗に妥協したもの。広めるための方便と。輪廻の説でさえバラモンを導入したものと、葬式仏教の形態が習俗と言えるか?本来の仏教に合わない?死者供養は早くから日本で。葬式仏教は新しい形態?近代的な様態とも言えるが。今日の儀礼的形態は中世の禅宗の影響が。一人前の層は宣下と呼ばれる。修行中の僧は手助けしないと迷ったままに。葬儀の方法が形成。他の宗派もそれぞれの方式が。近世の地壇制度で定着、キリスト教の弾圧。宗門改帳、寺に登録を。基本的に家単位。菩提寺や檀家。寺院を支えるパトロンが原義。寺院への登録を。幕府の民衆支配が、寺院が葬式を担当して儒教式は禁止される。儒教は倫理や教育に限られる。神道には葬式の形式は元々無かった。仏教は葬式も担当したが、死者の問題は中心ではなかった。葬式は生活の一部。家単位といっても厳格では無かった。そもそも庶民には姓が認められていないので家の継続にも限界が。家単位で墓を築くのは近代以降。
近代の葬式仏教の意味。天皇を中心とする国家体制。家父長的な家制度。個人を越えて継続し長男が継承。家督相続として家自体を相続して絶大な権限と重い責任。近世には武士や中流にも広がっていたが、近代になり義務化。近代日本の家父長体制を。皇室典範や民法など。大日本帝国憲法。万世一系の天皇の統治。天皇中心、天皇家という家が家父長的に維持。勿論フィクションだが、皇室典範。それを手本にして法体系として民法が。大論争の挙げ句、家制度を中心に。しかし法制度だけでは定着に充分でない、道徳的な教育勅語。家族倫理と国家倫理の統合、家を基盤に。日本社会の基盤を為す家のシンボルがが先祖の位牌と墓。日本では葬送儀礼を仏教が担当したので祀るのが伝統になった。寺院が葬式を担当する中で、寺に墓を。仏教式を否定する動きもあったが。墓地の規制もうまくいかず寺院が担当。地壇制度を生かして新しい関係を。近代は仏教が政治から切り離される。廃仏毀釈で危機的状況になったが乗り切り大きな勢力を保つ。家制度を支える役割を。生者の管理は行政に。死者への対応が主に。神道が葬儀に関われなかったので仏教が。法律上には規定されていないし意図的でもなかったが巧妙に。寺院の境内を支えそれなりの安定を。
第二次大戦後。天皇的国家体制は解体。葬式仏教はそのまま。核家族化、家の意識が薄れる。葬式仏教が成り立たなくなる。家族葬が増えて宗教的儀式をしない直葬も増加、継承が望めないので墓にも変化が。従来の檀家制度が維持できなくなり寺院経済が成り立たなくなり後継者不足にも成る。兼務も。大きな転換点に。社会参加仏教への関心。死者と関わる伝統的な仏教も意義が。過渡的状態であり新しい方向を見出すのが課題。
葬式仏教が本来の仏教の考え方と合わない?最初期の仏教は輪廻を前提?かなり早い時期から輪廻が、カルマの説と深く結びつく。業。潜在的影響力。行為をなした人に働く。自業自得。自分で受ける。良い行為をすれば幸福が。悪い行為だと苦が。現世で完結しないで来世に関わる。業の原則が輪廻と結びつく。現世の行為の結果は来世に。繰り返される、それが輪廻。六道。悪い行為をすれば悪い領域に。同じ人に生まれても境遇に差がある。現世の差別を合理化。輪廻の連続は果がない。輪廻の連続自体が苦しみに。離脱を求める。仏教だけでなくインドの宗教でも、解脱した状態を涅槃と。ブッダは悟りに到達した人と。法則を理解し煩悩を断つ。無我。実態があることを否定。主流の仏教にはアートマンがあるが、仏教は否定しているとされる。アートマン説を取るとアートマンが輪廻すると分かりやすいが。仏教では五運からなると。身体的な要素。精神的な要素。死んだらそれらが解体する?輪廻は仏教と矛盾する?困難な修行の必要もない。仏教では輪廻の主体は?煩悩により五運の塊が死によっても解体されない。それから離脱することが修行の必要性を。輪廻は自業自得で個人として完成。個人の自律性が中核に。ところが大乗仏教に成ると転換。菩薩が、他者とともにある、利他。そのために他者に振り向ける。結果を他者も享受するように。回向。相手が死者であれば回向の原理によることが不可欠。回向を認めると根本的問題が。あくまで自業自得であり他者に関われないはず。大乗仏教では自業自得を崩してまでも回向を認める。自他の区別が曖昧に。可能にしたのが空。空の考えは二項対立は実態性を持たない。それを越えるところに。生と死は対立する?実際は分けられない。脳死の問題。線引が必要。自他の区別も決定的ではなく、死者供養が可能に。功徳を死者に振り向ける。背景にして死者供養が大きく発展するのは東アジアで。比丘たちを供養してその功徳で母親を救う。盂蘭盆経。死者のために功徳を回向するのは中国でも広く。四十九日から一回忌三回忌。中国の仏教を受けて新たな発展が日本で。
日本の場合を詳しく。日本で葬式仏教が発達したのは社会の変化に適応。思想は古くから展開。空海の即身成仏。六大要素は根本の原理。修行者の原理。初めから悟りの中に。それを自覚することで現世で悟りが。インドでは基本的に悟りに達するには修行が。東アジアでは悟りが現実的に。日本では密教の即身成仏が基盤に。禅に比べて密教は理論体系が。悟りが身近に。最澄は即身成仏と。10世紀の後半に浄土教が。極楽浄土に。思想的基礎。阿彌陀佛への。浄土は六郷輪廻を、死後その世界に行くための念仏。元々は仏の姿を観想すること。称名念仏も認められる。来世観が明確な形で。往生を目指す実践的な。遺体の処理も含めて。浄土往生の思想は即身成仏の思想と結びつく。五輪塔。5つの図形を。石で作られた塔。各要素に該当、5つの梵字。人間の五臓と対応。東西南北中央の5つの方向とも対応。身体とも結び付けられ世界とも結び付けられる。塔というのは全てが統合された場。五臓との対応は身体を観相する対象に。即身成仏が実現できないとしても来世には実現することを目指す。死者の身体のシンボル。それにより死者の即身成仏が。仏塔。ブッダの遺骨を祀った場所。日本の五重塔もそれの展開したもの。普通の人のお墓にも用いられるように。死者供養の根拠に。遺体の処理は難しい問題。湿度が高いので死体の処理に困る。放置するか浅く埋葬するか。遺体は汚れたものとされ避けられた。平安中期に浄土教が進展して、死者を鎮めて。密教的な要素は大きい。真言も用いられる。密教的力で成仏させる方法は中世に様々な方法で展開。授戒することで罪が滅せられ悟りの世界へと。汚れを克服して死者供養を進展。念仏も死者供養に大きな力を、禅の力も強力。悟りが目指されたが業法の力は救済することで現世の秩序を保つことで強力な力を。中世には現世の越えるものを。仏教の力が葬式仏教の源流に。威力を基に形式化して儀礼と成る。葬式仏教の進展は日本の大きな特徴。

 

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