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不登校とその支援(生徒指導と教育相談第4回)

そもそも現状の学校のマンパワーでは、一定の不登校になる生徒は避けがたいのではないか。問題は公立高校が内申書を要求しているので、不登校経験のある生徒が進学しづらくなっていること。無くした方が良いと思われる。

 

伊藤美奈子。不登校とその支援。現在社会における不登校。日本の社会では50年代から学校に行けない子どもが。増加の一途を。02年の13万人を頂点にして。ほぼ横ばいの傾向を。ところが14年の学校基本調査では小中学校ともやや増加に転じるとの。15年には文部科学省でも不登校に関する調査協力会議で不登校対策を検討。60年近い不登校研究の中で、不登校の中身そのものに大きな変化が。社会問題の多様性を反映して。子供の現状も複雑化している。
不登校の歴史変遷。その呼称に注目する。不登校が注目されてきた50年代後半には学校恐怖症という言葉が。高度経済成長。学校に行くことが社会的成功の第一歩と考えられていた。症例は稀で周囲の理解も得られなかった。母子分離不安。心の問題として。70年代からどんどん増える。学校現場での教育問題として。名称も登校拒否と。学校現場では怠けだ気持ちの問題だと。訓練や鍛錬としての対応も。学校の管理教育や画一的指導体制を批判する。カウンセリングマインドも。90年代では学校現場では収まらない。不登校の居ない学校や教師は珍しくなくなった。92年の報告書。誰にでも起こりうると。不登校への施策も。登校拒否ではなく現象のみを捉えた不登校が。
現代社会においての不登校の特徴。いじめと不登校。きっかけで多いのがイジメを含む人間関係。様々な形でイジメがあり心に傷を。最も支援の必要があるのがいじめられた子ども。身体的イジメは年齢とともに減少するが。心理的イジメが。地獄と化する。ネットの普及でメールや掲示板blogでのイジメ。不特定なのでダメージが大きい。イジメた子どもも完全な勝者ではない。一気に形成が逆転する逆転劇も。友達をイジメたことが心の底にあり健全な自己効力感を持てずに大人に。クラスメイトによるイジメの実態を見て不登校に。傍観者には止めることのできない自分に無力感を。防衛的気持ちから見て見ぬ振りを。イジメはクラス全体を巻き込み暗く執拗に傷を残す。怠学無気力と不登校。怠学傾向の不登校や無気力的不登校が多い。励ましても効果がない。勉強に誘っても面倒くさいと接点が見つからない。怠学というレッテルを貼るのは簡単だが。背景にある根源に迫ると厳しい親子関係など真の理由が。怠学と見えても本人の意欲を回復させる前向きな関わりと問題を見つけ解決する支援が。発達障害が背景にある不登校。近年では発達障害と見られる子どもが多い。高機能自閉症など複数抱える子どもも。障害故に友達関係が上手くいかない。コミュニケーションが苦手。学習のつまずき。障害への支援が十分になされないで誤った指導で自己効力感がなくなったり。ちょっかいから喧嘩や嫌がらせに。本人としては傷ついたとしても、先にちょっかいを欠けるほうが悪いと見てしまう。SOSの発信がなかったりしても受け取られなかったり。障害に対する周りの理解が充分ではない場合。努力だけでは無理な状態を全否定したりする。誤った指導が自尊感情を傷つけ不登校に。
不登校の背景にある家庭や社会の問題。最近の特徴。社会問題の波をかぶった。家庭的な問題。不登校の全てではないし素晴らしい家庭環境でも不登校は起こる。不登校には家庭に根っこがある場合も含まれる。保護者の虐待やネグレクトが下敷きに。保護者の精神的病理。昼夜逆転や精神障害など影響を。他方子どもの自立を阻害する過保護。過剰な期待が苦しめ活きる力を奪う。親子関係の二極化。痛手を負う。経済格差の問題。非正規雇用とワーキングプア。子どもが安心して学校に通えない。経済格差と教育格差は無縁ではない。教育と福祉の連携が重要。
思春期。不登校になる殆どが思春期を生きる。思春期特有の問題を。社会への帰属。社会化と自分らしさの獲得、個人化、調整して達成する時期。人間関係を原因とした不登校。学級学校という集団から離脱して立て直しを図るというケースも。気がついたら自分を見失ってたケースも。自分探しの作業が統合が難しい。思春期そのものが危機的な時期。不登校と中1ギャップ。不登校の背景の学校移行。小学校段階には適応的だったのに、中学校に入った途端不適応に。とりわけ中学校で不登校が多く。中学1年で不登校になるケースが多く。中1ギャップ。背景には従来から指摘されるような小学校と中学校の違いが。移行期については様々な不連続が。小学校では担任の先生と関係が密だが、中学校では再構成されて人間関係が複雑化。父性的な指導へと転換。教科担任制になり担任の先生との関係が希薄化に。勉強面でも定期試験や入試。クラブでの人間関係。部によっては礼儀が厳しかったりシゴキがあったり関係づくりに悩む生徒も。小学校からの環境変化を強いる。
様々な要因があり原因が見えづらい。03年に文部科学省から不登校へのあり方についての報告書で5つの観点が。15年では協力者会議で検討が。不登校支援について。関係を構築しつつ適切に関わることの大切さ。学校に行くことに大きな葛藤を抱え身体症状を神経症的に。待つことが有効?多様化複雑化では待つことだけではなく虐待などの有無などのアセスメントが求められることを。どのような状態でどのような支援が必要か。複数で多面的な理解が。多様なメンバー。担任だけではなくカウンセラーなど多面的関わりが。協力支援体制を作ることで1人ではなく互いに支え合いながら連携を。チーム支援を機能させるためにも学校全体で見ていくことも。状況によっては待つことも必要だが、相当に根気が居る。見捨てられたと感じている場合もある。そっとしておけば良いという考えもあるが、反応に傷ついている場合もある。何の連絡もしてくれないと思ってしまう場合も。保護者だけでも話をしてお知らせを預けるだけでも伝わることが。気持ちに寄り添いつつ心理の理解を。情報共有。個別の指導記録の作成。個人情報の扱いに十分な配慮をしつつ連携して活用する。不登校の児童が専門機関に行ったり自宅から出てこない場合でも関わりを持ち続けることが大事。手紙や電話、家庭訪問などを通して必要な支援を把握する。不登校の本格化防止などで別室を活用する対応も。保健室など。教職員が協力しつつ適切な対応を。充分な支援体制を。不登校が話題になり始めた当初は治療的な対応が求められた。量的増加や質的多様化になり進路の問題も。狭い意味での進路指導と異なり、ひとりひとりの個性を活かし社会へ参加しつつ充実した人生を送る支援を。生き方支援とも。学校は子どもたちの学力を高めることだけではなく社会への準備を。心の問題も勿論大事だけど。自我の成熟も不可欠。同時に考え対応しなければならない。多様化する不登校に対しては様々な支援が必要。教育的支援。心理的支援。医療的支援。福祉的支援。司法矯正的支援など多様な支援を総動員する。学校での具体的進路指導においては自らの進路を主体的に選ぶためにも多様な選択肢を。通信制高校などを中心に不登校に配慮した高校が。定時制でも就学年限3年のところも。通信制はレポートが大変。サポート校で卒業資格を。自治体で様々な高校も。高等専修学校など進学先も選択肢が広がる。不登校の追跡調査でも06年の不登校だった中3の生徒の進学率は85%。9割に近づくほどに上昇。児童生徒の適正やニーズに合わせた進路指導が。高校進学後の中途退学においても自己実現の援助を。中退しても高卒認定試験を受験して大学進学をする人間も増えている。教育相談やオリエンテーション、中途退学後にも支援を。
根深いイジメや虐待、発達障害など校内だけで充分な支援ができない場合は公的相談機関だけではなく民間機関やNPOなどど連携することを。非行が潜む不登校。警察の少年課が。虐待が疑われるケース。児童福祉担当に通告相談。地域の民生委員やソーシャルワーカーの支援も。発達障害が直接間接の要因となっている場合は、専門の医療につなげ症状が落ち着く場合も。適切な紹介先を決めるために熟知しておくのも大事。保護者の理解と協力が必要。インフォームド・コンセントと呼ばれる丁寧な説明。繋がることで期待される効果など具体的な説明が。学校の関係も切れないことを伝えることも。充分な説明がないと学校から見捨てられたと不安定になるので充分な配慮が必要。連携トライアングルを。活きた情報共有を。柔軟でオープンな関係の構築を。家庭も重要な連携先。大きな不安や不満も。子供の心身に影響を。保護者に対し相談に応じたりすることを。
不登校の生徒の居心地の良い学校は全ての生徒にとり居心地が良い。校内でのチーム支援体制やネットワークで活きた連携を。

 

不登校―その心もようと支援の実際

不登校―その心もようと支援の実際

  • 作者:伊藤 美奈子
  • 出版社/メーカー: 金子書房
  • 発売日: 2009/08/01
  • メディア: 単行本