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思春期・青年期と非行(思春期・青年期の心理臨床第7回)

思うに少年犯罪なるものが問題視されなかった時代は、少なくとも日本の戦後にはなかった。まあ大人には理解できない要素があるのだろう。世代が違うのだから。身も蓋もないけれど。

 

大山泰宏。思春期青年期と非行。もう少し拡張して逸脱というキーワードで。逸脱。思春期青年期では?どんな意味を持つか。心の成長について。
逸脱する。はみ出す。逸脱することにどんなイメージを。何からどんなふうに。それまでの自分からはみ出す。身体や心の変化。自分自身がこれまでの自分から逸脱することに戸惑う。子供時代からの。大人の社会に入っていけないので大人から逸脱。大人社会への反抗としての逸脱。尾崎豊。サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」。ホールデン。大人社会への反発。大人社会への反発としての逸脱。思春期青年期で新たな自分のあり方を。例えば小学校4年5年の前思春期。下品な言葉を言って喜ぶ。大人社会への可愛らしい逸脱の始まり。顔をしかめるようなことを。奇抜や服装をしたり。若者につきもの。単に大人に直接的に反抗するだけでなく慣習への反抗にも。若者らしい威勢の良さが社会の法や掟に背くとなると非行になる。逸脱行為としてだけでなく小さいものからの連続体として把握することで。
逸脱。思春期青年期の必然。全くなにもないとしたら心の調子を崩す。原因不明の腹痛や頭痛。無気力に。子どもたちは親にできるだけ合わせていこうと。反抗しないように良い子でいようとしたために心身の調子を崩す。身体の方が逸脱する。自己主張ができるようになると受け入れることができるようになると症状が治まる。逸脱が必然的なものであるならば人類の知恵として社会的制度として逸脱の場を用意することが文化の営みの中で。お祭り。宗教的な意味合いと同時に非日常的な空間として逸脱が制度化された場所。荒々しくはみ出しそうな若者を中心に。逸脱を支える文化装置として。イニシエーション。子供としての存在から大人としての存在に移行する為の儀式。中途半端な青年期がなかった頃の社会。冷たい社会と呼ばれた伝統的な社会。イニシエーションの儀式はとても重要な意味を持った。多くの儀式では若者たちは隔離されて森の中の小屋などで何日も生活する。精霊に攫われたりする。その空間で大人になるための儀式が。様々な試練があったりしきたりを教えられたり。逸脱した習慣に。子供としては取り上げられて死ぬということ。大人として生まれ変わる。変化や移行、死と再生のための。ターナー。通過儀礼の概念。リミナリティ。あるものとあるものの境界。別の状態への移行する状態。どっちつかずの位置にあり危険であり価値が反転したり新たな意味が。不確実性と可能性。コムニタス。共同体。リミナリティの。不確実性や反転可能性を含む。しっかりとした構造を持たない。構造化された社会から逸脱。コムニタスは序列地位財産や性別や階級組織を越えた視点。自由で平等な人間のあり方。茶の湯の世界も。コムニタスを目指す。狭い入り口を潜る。将軍も頭を垂れる。階級や序列がなく自由で基本的な人間のつながりが大切にされる。茶の湯の精神。ハロウィーンの渋谷。コムニタスの場所。祝祭の境界的な世界。仮装姿の若者が構造化されていない世界に。序列や地位などを越えてこだわらない次元を求めている。イニシエーションについて。ずっとそこに居続けるわけにはいかない。構造化された社会に。重要なのはイニシエーションでの体験と切れるのではなく時間との結びつきを保ち続けることが必要。通過したことで新たなものを得て本質的な支えになることが大切。宮崎駿「千と千尋の神隠し」。人間の世界に戻り一回り成長して。イニシエーションをくぐり抜けてた印。英雄物語。印として傷跡の場合もあれば。その後の自分のあり方の本質と結びつく。単に逸脱して戻る単純なものではなく新たな自分になりイニシエーションで得たものと結びつく。自分の本質に関わる。
思春期青年期の逸脱の一つである非行について。小さな逸脱から大きな逸脱まで様々な形の。非行は大きな深刻な。線引は社会により異なる。喫煙や飲酒の年齢。日本では寛容な行為が他国で深刻だったり。思春期青年期の若者にどのようにあって欲しいか欲しくないかの思いが反映。思春期青年期の若者が大人や社会の何に反発するか。社会の何にattackするか攻撃するか。時代や社会的状況で定義やあり方が異なる。18年時点の少年法は触法少年虞犯少年などに分けられる。犯罪少年。14歳以上20年未満。刑罰法令に触れる。13歳未満であれば触法少年に。刑法では14際に満たない者の行為は罰しないと。まだ充分に判断能力責任能力があるわけではないと。同じ行為でも処遇が異なる。犯罪少年が検挙されれば検察官に送致され審判の対象に。虞犯少年は児童相談所に送られる。こうした制度の中にも未熟であるとみなすのか。教育が必要か、判断能力責任能力があるとして処罰の対象とするか。子どもから大人の間でどのように区切るか。イメージや思いが反映。非行少年、虞犯少年。罪を犯す恐れがある。刑罰法令に触れる行為を。まだ刑罰法令に触れる行為はしていないが性癖や環境からしてその可能性が高いと考えられる少年。犯罪性のある者と交際したり。虞犯少年が触法行為を行う前に適切な介入と教育を。早期発見早期治療を。何を虞犯とみなすのかは曖昧。この定義の中にも何が相応しいのかのイメージが反映。少年非行に関するものは戦後ずっと関心の的。世の中を映し出す。世相からの影響。子どもたちの変化。こうあってはならない、こうあるべきだという願いが反映。戦後の非行の変化。少年非行が話題になるのはとりわけ非行の件数が多くなったとき。その基準。補導されたり検挙されたり。制度の変化もある。本当に何が生じているかより歴史的に取り扱われてきた現象を。18年時点まで少年非行には4つの波が。戦後まもなく。混乱と貧しさに関連した非行が。戦災孤児。生活のための盗みや恐喝、売春などが。生きるための非行。生活型非行、貧困型非行。東京オリンピックの辺り。経済的に豊かに。高校の進学率の上昇。学校を出て働くよりモラトリアムの期間が。遊びかね欲しさの窃盗。管理社会への反抗。カミナリ族。暴走族。学生運動。昭和の終わりから平成の初め。校内暴力がピークを。街ではバイクや自転車の窃盗。万引がスリルを求めて。非行の低年齢化も言われていた。負の要因がない初発型非行が。尾崎豊に共感。大人社会への反発。何かを求めて既存のものを否定した勢い。ミレニアム。21世紀に入る辺り。大人たちにとり不可解なものに。神戸の連続殺人事件。バスジャック事件。子どもたちが分からなくなってきている印象を与える。少年犯罪の凶悪化が叫ばれる。実は少年犯罪が凶悪化している証拠があるわけではなく、戦後減ってきたので元々少なかった犯罪が目立つように。数が少ないが一定程度はあった猟奇的な犯罪が目立つように。非行のとらえどころがなくなった。人々が余裕ある繋がりを無くした。閉塞感。
現在様々な統計が示すところでは18年時点まで少年犯罪の減少。自殺者も全体としては減少。若者の自殺率は増加しつつある。事故死よりも自殺が多い日本の現状は国際的にも特徴的。絶望の国。逸脱が少なくなった分、死によってしか逸脱を表現できない。平成28年のこども若者白書。より良い子になっている。両親を気持ちをわかってくれるという回答が増えている。家庭でも学校でも80%以上が楽しいと。人の役に立ちたい子どもも増えている。逸脱しない良い子に。暴走族やシンナーの吸引も殆ど姿を消している。家庭内暴力の認知件数は12年辺りから増加。学校内の暴力発生件数も小学校では増加。単発的暴力が中学年高学年で。青年期では危険ドラッグや大麻が問題に。シンナーの場合は1人で行うことは殆どなかった。多くの場合は仲間たちと。危険ドラッグや大麻はInternetで手に入れて1人で。今の若者たちの逸脱には繋がりが失われている。逸脱というものが成長に意味があるのではなく単発的なものになってしまっている。社会から自分からはみ出て探求できなくなっている?逸脱を一緒に行う仲間が居ない?何をしても社会に絡め取られる。

 

思春期・青年期の心理臨床〔新訂〕 (放送大学教材)

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人格心理学 (放送大学教材)

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  • 作者:大山 泰宏
  • 発売日: 2015/03/01
  • メディア: 単行本