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クライアントとセラピストの「かかわり」(心理カウンセリング序説第5回)

確かに時間空間が決まっているカウンセリングは構造的に頑強で、揺らぎにも対応していけると感じる。

 

森さち子。クライアントとセラピストのかかわり。心理カウンセリングにおける。心のテーマをめぐる関わり。瞬間ごとに生起する様々な。言葉の内容とマッチしているか。言語的な介入を。無意識に投影される内的世界。心理カウンセリングの設定の中では相互の関わりが幾重にも影響を及ぼし合う。関わり合い。リアリティ現実は一定の時空間をともにする相互作用相互交流。2人のリアリティに迫る。セラピストは先入観を持たずに。専門性を生かして気づきを。矛盾するスタンスを如何に統合できるか。
関わり合いを支える構造。物理的にも心理的にも安定した空間。構造の恒常性。繰り返しによる体験の意義。心についての作業は現実と異なる時空間の中で。同じ曜日場所で同じセラピストが。一貫した外的構造。50分と決められた時間構造に守られて。物理的構造を一定に。都合により毎回場所が違ったりすると心を支える構造が不安定に。構造を維持しながらも綻びが。大きな揺らぎが。様々な事が起こる。クライアントにもセラピストにも動揺が。どのような感情と言動が。両者の関係性への影響。一つ一つ考える。
セラピストの基本的態度。セラピストは自分の価値観などを基準にしないで中立性を。受け身性を保つ。守ることは難しい。ゆったりと耳を傾けるには経験が必要。価値観が自覚なしに現れることも。まずセラピストは出来る限り自分を知っておく。クライアントセラピスト関係の転移逆転移。19歳の青年の臨床例。転移逆転移関係を考えるのが重要。簡単に定義を。転移。過去の重要な人物の間で体験したクライアントの体験などが現在の関係の中で不合理な形で再現。逆転移。セラピストの無意識的反応。セラピストが様々な感情的態度を。19歳の男性。A君。対人関係で居場所がない感情を。10分か20分の遅刻が繰り返される。遅刻をめぐる転移逆転移関係。話し合う内に母との関係、父との関係の理解。3者関係。親子関係の中で処理しきれていなかったわだかまりが。居場所のなさを。転移逆転移の中で遅刻という体験を一緒に考える中で親子関係のテーマが浮上し処理しきれていなかった内面の問題が今の実感につながる。セラピストとの関わり合いの中で親子関係の理解や対人関係の緊張が実感され理由が実感として分かる。緊張や不安が低減される。自覚が深まった後の半年後に終了。出会いと見立ての回でBくんのその後。21歳。弱々しい自信の無さそうな態度で。身体は大きいが。父や教師に決めてもらい苦手なことは回避。やる気が起こらない、やりたいことが無い。心理カウンセリングに。半ば先輩に勧められて。就職に向けてやりたいことが無いのは?面接が始まって2ヶ月3ヶ月経過。12歳頃から離人感。現実感が失われたり一貫した自己が保てない。中学1年に母が自殺したことが共有。しばらくして回想が進む。小学校では負けず嫌い。自己主張して争う場面は嫌。しかし中学に上がるまでは勉強もスポーツも出来て一目置かれた。1つの変化。今の抑うつ状態だけではなくかつての元気な自分が思い出される。安心した構造の中で毎回自分を語る。何を語っても良い自由。面接開始の半年後。伸び伸びとしてきている。萎縮した部分が無くなる。小さな声や自信のなさのギャップが埋まるという期待を持てるように。高校時代。彫刻が好きで没頭した作品で高い評価を。将来は彫刻家になりたいと夢を。小さい頃から止めずにピアノを。将来はピアノを専門にしたい。夢を少し語ると父に一蹴される。元気になってきているエピソード。大学4年生の夏休みに短期留学。自分でカナダに決めた。山が好きだから。B君自身は自然に決める。大事なことは先生や父親に決めてもらったと語っていたが。B君本来の自由な表現が。心理カウンセリングを続けていく中でB君に変化が。心理カウンセリングの安全な空間の中で親密感が。自発的気持ちを楽しめるように。離人感も報告されなくなった。朝一番の面接。2人だけの。とても静かなところで他のスタッフに会うこともなく。Bくんが内的に安定しているように見えた7ヶ月後。年配の男性のスタッフがセラピストに声を。B君が入りドアを閉める瞬間。スタッフが親しげに挨拶を。B君は声を聞いていた。不味かった?構造の綻びが。2人だけで始まる面接の前に親しげに。いつもの面接の構造を守りきれなかった。いつもと違うが大丈夫だった?影響を及ぼすという心構えを持たなかった。直後に面接が始まるとBくんは全く触れなかった。過去へと舞い戻ったように抑うつ的で自信がないと。伸び伸びと自己表現が出来る状態から。翌週の面接では構造が綻びが。今までになく酷い離人感。現実感がなくなり施設の中を歩いていると自分が何処にいるか分からない。何度も自分に言い聞かせたが怖かった。味がない感覚。記憶が飛んでしまう。でられなくなって困っている。これほど続く離人感は初めて。ラグビーをしているときに襲われたら危険。Bくんの離人感は第三者の登場と関係がある?様々なエピソーとが整理され浮上。自分より上の男性の存在があるとその場から引いてしまう。弟の喧嘩にわけて入る父の力。かなわない。母が亡くなってから3人の家族で。B君は180センチ以上あるが、弟はそれより高い。取っ組み合いの喧嘩をしていて父が入り自分の首を掴む。その力に驚いて喧嘩が終わる。家庭は男同士の力のぶつかり合いが、殺伐な。揉め事は嫌いだと最初に。家では少し違う。ところが自分より力が上の父親に。男性登場を契機に生じた離人感覚と関係がある。自分より権力がある人には争わない。自分より親しい関係にある男性スタッフ。触れないが元気が無くなる。前回の面接直前の出来事と結びつく。自分にとり非常に近い関係であるセラピストにもっと近い人が。セラピストの存在が遠くなる。自分が自分であるという感覚もなくなる。B君に。この間に部屋の前で他の先生が現れたときに引いてしまう?自分が敵わないなと思うと逃げてしまう。半年続けてきて自信をなくすだけではなく別の側面が。やってみようというB君も居る?語調はやや軽快で明るい色彩を。言葉の内容だけでなくトーン。言葉以前のものが含まれる。Bくんの実感。もしかしたら今はやってみようというB君もいる?そうですね。ラグビーもやってやろうと。負けず嫌いだったと。B君の声に今までにない張りが。翌週。離人感がひどくなったという訴えや体験を元にした言葉がけ。半年かけて気づいた元気な側面。2セッションが終わり次。開口一番、これまでに非常に長く続いた離人感が無くなる。帰りの電車の中で我に返ったように。ずっと離人感が無い。自分であれだけ強かったものが無くなる。しばらく沈黙した後の内容。静かに話す。今日母の命日であれから10年になる。忘却しようとしていた、どんどん記憶が薄れる。ピアノの上の母の写真も見ない。常に父親に連れて行かれる感じ。今年はお墓参りに自分から行こうかと。母のことを供養したい。もっとゆっくりポツリとたくさん話す。とても心を動かされる。たまたま秋のある日に母が亡くなられた日。事実として母は居ない。言われたとおりではなく母の記憶が薄れるのに罪悪感を。自分から供養したい。どうしてかは分からないが。この語りを聞いてB君は10年間置き去りになっていたしまい込まれていた母を巡る喪の仕事。喪失体験を噛みしめる。テーマを初めて口に。B君の中で止まっていた時間。感情が流れ始める。B君に。今まで母のことを忘却しようとしていた?そうですね。考えないようにしていた。もしかしたら母親のことをめぐり実感が持てず離人感が。そうですね。ほとんど母のことを考えなかったので。あの頃の母はどんな思いだっただろうかと。先週面接が終わった帰りに離人感が消えたと。母のことについても我に返った感じ?深呼吸をして。周りの人が面倒を見てくれるようになり。もっと依存的に。大事なことも自分で決めないできてしまった。初回面接の内容と一致。否認。情緒的に受け入れないことと離人感がつながる。弱い自分が優勢に。心の問題と結びつく。現実に10年を経てようやく心が向かい合える体制に。
事例を通して。心理カウンセリングにおける関わり。こうした臨床例の中で相互交流の土壌を。豊かな相互交流を醸成する土壌。クライアントの心に建設的変化が。セラピストの衝動を巡る姿勢。情緒的体制に支えられた生じる気持ちの変化に体制を整え、タフに柔軟になって抱えられる。持続的共感を続ける。安心できる空間境界に。アベイラビリティ。クライアントが情緒的応答を求めるときにいつでも準備は出来ていると。発達促進的に。関わりの真摯さ。クライアントに向かい合う真剣さ。

 

心理カウンセリング序説 (放送大学教材)

心理カウンセリング序説 (放送大学教材)

  • 作者:大場 登
  • 発売日: 2015/03/01
  • メディア: 単行本