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人的資源管理('18)第13回 #放送大学講義録

感情労働をする人間は増えるのだろうか?AIなどの影響で減るかもしれないけれど。

 

人的資源管理('18)第13回 - F-nameのブログ

 

-----講義録始め-----

 

本講義では、「感情労働」に焦点を当てます。感情労働とは、個々が自分の感情を管理しながら働くことを指します。感情は自然に湧き上がってくるもので、この感情を意識的に隠すことが求められる場面が職場には存在します。一般に「感情的」という言葉は良い意味で使われることが少ないことから、その管理が重要となります。

特に対人サービス職では、顧客との接触が不可欠であり、顧客と適切に対応するために企業による教育が必要となります。これは製造業だけでなく、非製造業や経済のサービス化が進む現代においても同様です。サービス業では、提供者のマネジメントが求められるため、サービスの特性を理解することが重要です。

サービスの特性とは、その主な成果として物を生み出さない全ての活動で、主に無形の経済活動を指します。その無形性から、物と比較して評価が難しく、また、生み出されたその場で消費されるため在庫を持つことができないなどの特徴があります。また、同じサービスでも提供される環境や人間の要素から結果が異なることが多く、その結果とプロセスの両方が重要となるのがサービス業の特徴です。

サービスと感情労働との関係について考えると、顧客の状況は千差万別で、その評価は主観に基づいています。提供者は顧客の状況を察知し、感情労働を行う必要があります。このことを「演技」の概念と関連づけて考えることができます。行為者の意図によって、「表層演技」と「深層演技」があります。表層演技は一時的な感情の制御であり、深層演技は自分の真の感情と矛盾する感情を演じることを指します。この感情労働によって引き起こされる疲労やストレスは、バーンアウト(燃え尽き症候群)や神経症などの健康問題を引き起こす可能性があります。

しかし、感情労働にはポジティブな面もあります。顧客とのポジティブな相互作用は、スタッフの達成感につながることがあります。問題となるのは、感情不協和と呼ばれる状態で、これは職務に必要な感情と自分の実際の感情との間に乖離がある場合を指します。これが疲弊をもたらし、組織パフォーマンスの低下や感情の枯渇、脱人格化などを引き起こす可能性があります。

感情労働の影響にどう対応するかについては、バーンアウトの予防や個人の内面のケアが重要となります。職場におけるサポート、特に精神的な援助を含めた全面的なサポートが、感情労働による疲弊の改善に繋がります。感情労働の特性にフォーカスを当て、その改善に取り組むことが求められます。