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雇用社会と法第2回。 #放送大学講義録

労働者が権利を行使するにも一定の対人スキルと知識が必要。

 

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-----講義録始め-----

 

権利実現とその仕組み 権利実現は、個人が自らの権利を主張し、それを実現するための行動を指します。しかし、実際の請求は容易ではなく、他人との関係で波風を立てることが多い。権利実現のためには、法に関する知識や情報、一定の体系的学習、そして相談の態勢や救済手続、組織などの仕組みが必要です。

権利意識とコミュニケーション 権利意識は、自分の権利を我がものとして認識し、それを実現するための意識を指します。この意識を他人に伝えるためには、コミュニケーション能力が必要です。対立を恐れず、他人の権利も尊重しながら、同僚との良好な関係を築くことが求められます。

権利行使の支援機構 権利行使を支援するための仕組みとして、労働NPOや同僚の支援、法テラスなどの扶助機関が存在します。これらの機関は、当該労働者だけでなく、他の労働者にも影響を及ぼすことがあります。また、不利益取扱いの禁止やマタハラ裁判など、権利を守るための法的手段も提供されています。

紛争解決の方法 紛争解決の方法として、労働局による個別斡旋制度や労使紛争を処理する労働委員会、労働審判制度などが存在します。これらの制度は、労働基準関係の実定法に基づいています。しかし、法令は非常に分かりづらいため、規定を分かりやすく解釈することが重要です。

紛争観の変遷 欧米型の紛争観は、自由平等な個人のエゴのぶつかり合いとその調整を重視します。これに対して、日本の紛争観は、協調性や和、横並び意識を重視するものであり、利己的な行動や違うものへの寛容さが欠けるとされています。日本の紛争観では、争いは病理現象と見なされ、自己中心的な行動やクレーマーとしての批判が強まる傾向があります。このような同調圧力が強い中で、合理的な紛争解決は希薄となり、対立の解消のためには紛争の回避や根回し、情報収集やアドバイスが求められます。

労働法の学びの意義 労働法を学ぶ意義は、紛争の発生を予測し、それに対する周到な準備をすることにあります。都市化の進展や社会の大きな変動に伴い、紛争観が変容してきました。法律や権利主張が身近になりつつあり、法理論に基づく解決が必要とされています。権利内容を知ること、自分の契約内容についての正確な知識、そして自分の要求内容を明確にすることが、労働法の学びの中で重要な要素となります。