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権利実現のためのワークルール教育(雇用社会と法第15回)

確かに労働法の知識を知らない人は多いのかもしれない。前提として契約法理を教えるのは、高校教育では難しいのかもしれないけれど。

 

道幸哲也。労働法の具体的展開を裁判例で。適用されるのは職場。とりわけ権利実現の主要な担い手は労働者個人。しかし労働法に関する教育を受けていない。にもかかわらず労働トラブルが多い。いわゆるワークルール教育のニーズ。現状と課題。市民レベルで学び実践する。
ワークルール教育の現状。権利内容を的確に知る。実際には労働法の知識は貧弱。自分たちを守るために知るべきという話にもなっていない。充分な教育がなされていない。クレーマーとして排除する傾向も。若年者の失業やフリーター化。ニートの問題。キャリア形成についての多様な試み。勤労意欲の涵養は理解できるが、労働法も教えないのは異常。権利主張能力も含まれるはず。多様で身近な労働問題の発生。非正規労働者。低賃金やリストラ、長時間労働。労働条件の不利益変更やハラスメントなどを巡る労働紛争も増加。日常化している。ワークルール自体が複雑。一定の体系的教育が不可欠。労働者派遣や労働時間についての条文を理解するのは困難。判例法の重要性も増しているが、理解は容易ではない。職場における自主解決能力の低下。外部化しやすく。個人レベル。Communication能力の低下。パワハラを巡る紛争など。学校教育や就活では対立構造を前提にしていない。相手方に寄り添うだけのものに。若年労働者については自己分析の浸透、自己無力感。過度な責任感を。権利主張ともっとも遠い。企業内では労務管理の個人化で労働者の孤立化が。同僚との連帯が希薄に。上司の役割や組合の機能も低下。容易に紛争に。セクハラやパワハラの問題。労働局の個別斡旋など、企業外の紛争解決手段。個々人がワークルールを適切に知る必要がある。でないと自分を守れない。自助努力や自己責任。実際には企業に対する不満があれば退出行為により解決を。ワークルールが根付かない。社会的に重要な問題だが、国民的関心はあまりない。
実際に労働法教育はどのように?対象や目的に応じて。学校教育レベル。高校の公民や家庭科。総合学習や進路指導でも。職業教育レベル。職業高校、専門学校。就職した後の社員教育や組合員教育。それほど実施されていない。社会教育レベル。大学教育レベル。体系的教育。基礎的側面や働く人向け。専門家教育レベル。大学院レベルで。ワークルール教育の。学校教育が重要。学校においてどのように?職業について基礎的な事項など。仕事や労働についての教育。小中学校や公民や家庭科。ある程度体系的なのは高校段階。中央教育審議会が答申した今後のキャリア教育。社会的職業的自立に向けて必要な能力。キャリアを積み上げていくのに必要な知識。卒業生などとのインタビューや対話。職業体験など。経験を通して進路を研究するなど。生徒が職業観を形成できるように。労働者としての権利と義務などの学習の必要性。公民科が中心。現代社会。雇用労働問題として。政治経済。雇用と労働を巡る問題。詳細なのは政治経済。労使関係の特徴や展開。職場における労働者の権利義務。指導要領の解説。労使関係の特色、労働基準法の原則など。家庭科。消費生活やワークライフバランス。職業教育過程。実験や実習、就労体験。総合的な学習。趣旨は地域や学校、生徒の実態等に応じて創意工夫を活かす。国際理解、情報、環境など。総合学習では進路について考察も。ライフプラン。職業理解を深める。進路指導。特に高校。職業指導就職指導。高校への出前授業。働くことやワークルールについて。興味を持ってもらうことは大変。クイズ形式や問答形式。高校生は正解を知っているかどうかにこだわり、自分の意見を述べる機会はあまりない。議論が難しい。議論する文化は高校教育にない。
ワークルール教育を巡る最近の。平成20年頃から。21世紀になってから。報告書。平成21年の研究会報告書。厚労省で。現状や問題点。基本的立場。労働者は法律や契約で保障された権利を行使できるが、法的侵害を防ぎトラブルを解決できる職場環境を形成するには、労働者が自ら知っているだけでなく相談窓口などの幅広い知識が必要。実際に行動を起こす問題解決能力や基本的生活態度を。良好な人間関係を構築するCommunication能力を。あらゆる機会を通じてバランスが取れた教育を。知識等を実際に活かし適切な行動を。社会性。平成23年。中央教育審議会。今後の学校のキャリア教育。報告書はキャリア教育の全体像を。キャリア教育とワークルール教育には対立する側面がある。そういう問題意識は希薄。平成27年の青少年絡みの法律。20条。職業生活において必要な法令の知識を。厚労省の告示。使用者側が基礎知識を付与する必要性。トラブルの防止に資する。研修の機会を捉えて。16年段階では立法の動きが。遅きに失したが社会的にやっと承認。
ワークルール教育を巡る論点。本格的検討に必要。何が問題となっているか。具体的内容。担い手。教育方法。実務的な側面。基本的論点も。教育の視点。ワークルールは法的なルール。労働者の権利と義務。両者の調整が難しい。何を中心に。21年ではバランス重視。法的権利や労働契約に基づく義務を。義務を重視する立場や権利を志向する立場。基本的には権利中心で。労働者の義務は勤労観を持つこととの関連で国の教育の対象。労務管理レベルの義務は使用者の教育の責任で。働く際の心構えはキャリア教育などで。政治的側面。殆ど使える形で教育されていない。労働問題の頻発。権利に対する教育のニーズが。教育すべきワークルールの具体的内容。何を教えるか。最近の主流派では、労働基準法等の強行法規を中心に。ブラック企業対策。どう是正するか、外部機関にどう相談するか。弱い労働者をどう守るかが課題。ワークルールは労働契約を前提としているので、労働基準法等の強行法規と共に契約法理も重視を。労働契約より労働組合、集団的法律関係を。労働契約の在り方を適切に教えることが必要。平成21年の厚労省の研究会報告書。労働法の構造。労働関係は使用者と労働者の合意による。労働者と使用者は対等ではない。労働関係法令。労使が対等の立場で交渉。労働三権の保障。労働法のイロハを教える。給与退職金の具体的労働契約の内容は合意による。締結時の書類で確認するのは重要。必要に応じて契約にまつわる基本的知識の付与を。職業選択や就職活動に必要な。派遣やアルバイト、仕事の探し方。就職支援機関。以上の提言。労働法の体系に沿った。適切に教えることは難しい。とりわけ高校生に契約法理を理解させるのは難しい。契約法理は自己責任を前提。労働者に過度の自己責任を意識させることも。契約で決まったのだから文句を言うな、という発想に。包括的な労働法の知識には時間が必要だが、それが可能か、という問題。時間的負担。ブラック企業対策として労基法の基本原則を。長期的に考えると労働契約法を基礎に。合意の世界。話し合って合意して物事を決めていくのは学校世界と違うもの。どう教えるかの問題が。高校教育の在り方について見直す契機に。権利実現に関する資質。権利実現の為には5つの事柄。知識、人間的資質。権利実現に対する社会的支援、権利実現のためのシステム。権利実現の基盤となる実体法の視点。男女雇用機会均等法など。かなり重要なのは権利を実現する資質。知識を得ると共に態度や力量が。資質が。議論したり相手を論破する力。敵対的環境下で行動する力。ワークルールについては対立構造の中で主張。論理構造や問題の仕方。職場の抑圧メカニズムの把握。自立した労働者像を獲得する。態度や力を教育の場で育成するのは困難。このレベルまでの力を要求することは殆ど無い。問題関心も希薄。このような教育が出来なければワークルールは機能しない。単にワークルールだけでなく、大人に必要な資質。関連して労働組合の位置づけも問題。個人レベルの力量だけでは不足。集団化により組合を結成し組合と相談する。労働組合をどう考えるか。ステータスは高くない。権利主張には不可欠。人権保障の観点からも重要。労働組合に対する評価は高くない。学校教育では教えづらいテーマに。職場における団結を教えるのは難しい。職場での連帯、理解できない社会。とりわけ組合は会社と対立する側面が。そういう形で権利主張するのは想像を超える。多様な利益を調整して相手と交渉するリーダーシップも困難。権利実現の為の教育はどう在るべきか。特に資質。絶望的な状況。日本社会で話し合いにより物事を解決することは重要。学校教育で。学習のヒント。3つの問題。現実の職場で円滑に権利主張を。学校教育で意味在る形でワークルール教育を。キャリア教育とワークルール教育との関連を。個人的問題関心。どう考えるか検討を。

 

雇用社会と法 (放送大学教材)

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