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行政法(’18)第14回。#放送大学講義録

憲法の具体化として国家賠償法は制定されているので、常にそれを意識する必要がある。

 

行政法(’18)第14回。 - F-nameのブログ

 

-----講義録始め-----

 

以下は、行政法の講義における国家賠償法(国賠法)1条に関するメモの内容を整理した文章です。

国賠法1条は、国や地方公共団体の行政活動による損害について、その責任の性質を規定しています。これにより、国家補償の考え方が明示されています。具体的には、違法な活動による国家賠償と、適法な行政活動から生じた損失補償が認められるというものです。

賠償が認められる要件については、以下の4つが挙げられます。一つ目は「公権力の行使にあたる公務員の行為」、二つ目は「公務員が職務を行うこと」、三つ目は「故意又は過失」、四つ目は「違法性の要件」です。これらの要件については、裁判所の解釈が重要な役割を果たします。

「公権力の行使にあたる公務員の行為」については、狭義説と広義説という二つの解釈が存在します。狭義説は権力的活動のみを指し、広義説はより広範な活動を含むとするものです。これらの理論に対しては判例や学説の多くは広義説を採用しています。また、公権力の行使に該当しない場合は、民法709条などが適用されます。

「職務を行う」については、公務員が主観的に行為を行うだけでなく、客観的に職務の形態を満たすことも含まれるとされています。これを「外形説」と呼んでいます。

「故意又は過失」については、故意は公務員が損害を認識しながら容認したものを、過失は認識すべきであったはずの不注意を指します。この場合、標準的な個人が予見できる場合、つまり予見可能性と結果を回避可能であることが重視されます。

「違法性の要件」は、公務員の行為が法律に客観的に違反していることを意味します。主観的注意義務違反がある場合、違法性を同時に満たす可能性があります。また、過失に関連しては、「職務行為基準説」が提唱されています。

なお、国賠法は、公務員の不法行為に対する責任を追及するものではなく、損害を受けた個人への補償を前提としています。これは、公平な負担の原則や、憲法17条に基づく憲法的基礎に立脚しています。