健康の情報に関しては、何処まで信憑性があるのか分からないものも多い。吟味することは欠かせない作業になる。
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市民のための健康情報学入門
健康情報学において、最も中心的な概念は「エビデンス(evidence)」です。エビデンスとは、科学的根拠を意味します。この科学的根拠は、どのようにして作られるのでしょうか?
エビデンスにはランクやレベルが存在し、それぞれのランクには異なる信頼性や価値があります。エビデンスの作成には主に2つの方法があります。一つは「経験による根拠」、もう一つは「科学研究による根拠」です。経験に基づく根拠は、ナラティブ(narrative)として伝えられることが多いです。一方、科学的根拠は、臨床研究や治験を通じて得られる情報として存在します。これらの研究や治験の結果は、論文として公表されることが一般的です。
このような科学的根拠の考え方は、EBM(Evidence-Based Medicine)の中心的な考え方として位置づけられています。しかし、医学には不確定性や不確実性が存在します。そのため、エビデンスは本当に信頼できるのでしょうか?
エビデンスの信頼性を見極めるためには、情報の質を評価する必要があります。情報は「data(データ)」と「価値」の組み合わせであり、この「価値」に相当するのが「エビデンスレベル(evidence level)」です。しかし、学校教育や社会では、このエビデンスレベルについて十分に教えられることは少ないです。
エビデンスを得るための研究では、介入群と対照群・コントロール群という2つのグループを比較することが多いです。この比較を公平に行うためには、無作為割付やランダム割付が行われます。これは、偏った割付を避け、純粋に2つのグループを比較するための手法です。また、複数の研究結果を系統立てて集める「システマティックレビュー」や、それらの結果を統合的に分析する「メタアナリシス」も行われます。
エビデンスが一度作られた後、それはどのように伝えられるのでしょうか?研究結果は、専門家による査読を経て論文として公表されます。これを「一次情報」と言います。また、これらの情報を基に作られる「診療ガイドライン」は「二次情報」として位置づけられます。ガイドラインは、医療従事者だけでなく患者向けにも提供されることがあります。しかし、ガイドラインには落とし穴も存在します。人間は医学や生物学的に多様であるため、一律のガイドラインが必ずしも適切であるとは限りません。
最後に、エビデンスは数字で伝えられることが多いです。これは、確率や分数、百分率として表現されることが一般的です。
以上が、健康情報学の基本的な概念とその関係性についての概要です。